パク・チン外交部長官は12日、王毅中国外交部長(外相)とテレビ会談を行い、習近平中国国家主席の訪韓など、首脳間の交流が続くよう緊密に意思疎通を図っていくことで一致したと、韓国外交部が発表した。
パク長官と王部長はこの日午後4時30分頃から1時間15分にわたりテレビ会談を行い、韓中関係や朝鮮半島問題、地域・国際情勢など相互関心事について協議した。外交部によると、両長官は先月、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)当時に開かれた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と習主席の初の対面首脳会談が「相互尊重、互恵、共同利益に基づいた新しい韓中協力時代を開く重要な道しるべになった」と評価した。
外交部はまた、「両首脳が合意した両国関係の発展方向による後続措置を円満に履行するため、緊密に協力することで合意した」とし、「韓中関係の健全で成熟した発展のため、外相の相互訪問を含め、両国外交および国防当局の『2+2』次官級の外交・安全保障対話、外交次官戦略対話、人文交流促進委員会、1.5トラック(半官半民)の対話など多様な水準で高官級交流を迅速に進めることにした」と付け加えた。
韓中外相の会談は、韓中国交正常化30周年に当たる今年8月、パク長官が中国山東省の青島を訪問して会談してから4カ月ぶり。当時、双方は王部長の年内答礼訪問について話し合ったが、状況が思わしくなく、テレビ会談に変更したものとみられる。
外交部によると、最大の関心事である朝鮮半島問題について、パク長官は「北朝鮮の挑発に懸念を示し、北朝鮮が核実験をはじめとするさらなる挑発を自制し、非核化対話の道に進むよう導くのが韓中の『共同利益』であり、両国の緊密な協力がいつにも増して必要な時期だ」と強調した。これに対して王部長は「今後、朝鮮半島問題に対して建設的な役割を果たしていく」と述べた。
これまで尹錫悦政権は、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けた「中国の役割」を機会あるたびに強調してきた。一方、中国側は「朝鮮半島問題の本質を直視し、意味ある対話を通じて北朝鮮の合理的な安全保障上の懸念を含む関連当事国の懸念を解決するための外交的努力を傾けなければならない」と答えてきた。北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射にもかかわらず、中国は同じ理由で国連安全保障理事会の対北朝鮮追加制裁決議に反対している。
急速に進んでいる韓米日安全保障協力の強化をはじめ、尹錫悦政権の「米国重視対外政策」方向に対する中国側の立場がどれほど明確になるかも関心事だ。韓米日3カ国首脳は先月13日、カンボジアで発表した「インド太平洋韓米日3カ国パートナーシップに関するプノンペン声明」で、中国に圧力をかける意図をより明確にした。
この日、外交部はこのことに関して王部長がどのような言及をしたのかは公開しなかった。これに先立ち、今年8月の両国外相会談当時、王部長は「独立自主路線を堅持し、外部からの干渉を排除しなければならない」という発言で、遠回しに不快感を示した。外交部によると、両長官はこの他にも、サプライチェーンをめぐる意思疎通の拡大、韓中自由貿易協定(FTA)のサービス・投資交渉再開、両国間の航空便の増便および人的交流と文化コンテンツ交流の活性化など、多様な分野で積極的に協力することにした。
一方、これまで国務委員を兼職してきた王部長は、10月23日に開かれた中国共産党第20期中央委員会第1回全体会議(20期1中全会)で、最高権力機構の政治局委員に進出した。 このため、来年3月の全国人民代表大会(全人代)以降は外交部長から退き、楊潔チ現外交担当政治局員に続き、中国外交政策総括の中央外事工作委員会弁公室主任を務めるものとみられる。