北朝鮮のキム・ソン国連大使は26日、第77回国連総会の一般討議演説で、この日から韓米が東海(トンヘ)で行っている合同海上演習について「明白に朝鮮半島情勢を戦争の接境へと追い込む導火線に火をつける、非常に危険千万な行為だ」と非難した。
キム大使は「いま朝鮮半島の安保環境は、米国とその追従勢力のますますひどくなる対朝鮮敵対施策によって緊張の激化と対決の悪循環から抜け出せずにおり、最近はさらに厳しい危険へと突き進んでいる」と話した。さらに「米国はこの時刻にも朝鮮半島周辺で非常に深刻な憂慮を生む合同軍事演習を展開しようとしている」とし、今回の演習を非難した。韓米はこの日から29日まで、東海で米空母ロナルド・レーガンをはじめとする艦艇を投入し、合同演習を行う。
キム大使は、北朝鮮が今月8日に先制攻撃の可能性を開いた「核武力政策」法令を採択したことについて、「米国とその追従勢力の変わらぬ敵視政策と軍事的脅威から自己の主権と根本利益を守り、朝鮮半島と地域の平和と安全を保障するための正解を見出したもの」と述べた。また「米国は朝鮮民主主義人民共和国が米国の敵視に抵抗し、核武力政策法令まで採択せざるを得ないようにした」と述べた。
また「数日前にも米大統領はまさにこの席で、いわゆる真剣で持続的な外交を始めようとする努力にもかかわらず、朝鮮民主主義人民共和国が国連制裁に露骨に違反していると述べた」とし、21日のジョー・バイデン大統領の国連総会演説に言及した。同大使は「我々は、米国が一方的に作っておきながら規定を守らないとして圧迫を加えるような国連制裁は認めたことがなく、今後も認めない」と述べた。また、安保理制裁は多くの核保有国の中で「朝鮮民主主義人民共和国だけに反対する、最も極悪な制裁」だと非難した。
キム大使は演説で、韓国に直接言及しなかった。ただ「米国とその追従勢力」という表現で韓国を非難した。
一方、キム大使は北朝鮮が「100日余りという非常に短い期間」に新型コロナウイルスに対して「決定的な勝利を成し遂げた」と明らかにした。また「私はこの機会に(北朝鮮政府の)委任により、わが国の防疫事業に深い関心を持ち、積極的な意向を明らかにした多くの国々と国際機関に謝意を表する」と述べた。韓国や米国、国際機関などが北朝鮮の防疫に対する支援の意思を明らかにしたことに感謝の意を表したものと受け止められる発言だ。ただし、支援の意思を表明した国の名を挙げていないため、包括的レベルの謝意と理解される。