(1から続く)
尹政権にも損はない「改憲」
改憲は「何を」より「どのように」の方が難題です。どうすれば改憲できるでしょうか。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が積極的に乗り出すべきです。改憲案を発議せよと言っているわけではありません。尹錫悦大統領が改憲案を発議すれば、改憲はむしろ成功できません。改憲案を直接発議して、失敗した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の前例があります。大統領は改憲の意志だけを示し、国会で与野党の合意で改憲案を発議して可決するようにすべきです。1987年の改憲はそうやって実現しました。
尹錫悦大統領には改憲案の発議よりも重要な役割があります。自分の大統領任期を短縮する政治的な決断です。
再選可能な4年任期の大統領制を導入するためには、第21代大統領選挙を2024年の国会議員総選挙か、2026年の全国同時地方選挙と同時に行われるようにすべきです。尹錫悦大統領の任期を1年減らし、2026年に大統領選挙と全国同時地方選挙を同時に行うようにすることが合理的です。
任期を短縮する改憲は尹錫悦大統領にとって得でしょうか、それとも損でしょうか。私は得だと思います。尹大統領はすでに「青瓦台を脱出した最初の大統領」になりました。改憲まで成し遂げれば、「1987年体制を終息させた大統領」として歴史に記録されるでしょう。任期を1年減らしても決して損ではありません。
直ちに「与小野大政局」を乗り切る動力も確保できます。国会に改憲特委が構成され、与野党が改憲論議に着手すれば、対話と妥協の政治ムードが作られるでしょう。
改憲は国会に任せ、尹錫悦大統領は経済危機の克服に集中できるでしょう。共に民主党も協力するはずです。尹大統領の国政支持率は上昇傾向に転じるでしょう。
ホン・ジュンピョ、ユ・スンミン、オ・セフン、ウォン・ヒリョン、アン・チョルス、イ・ジェミョン、イ・ナギョンなど次期大統領を狙う与野党の政治家たちはどうでしょうか。彼らは改憲に協力する必要があるのでしょうか。
あります。改憲には国会在籍議員3分の2以上の賛成が必要です。国民投票も実施しなければなりません。次期大統領選候補らがほとんど同意しなければ、改憲は事実上不可能です。
次期大統領選候補たちにとって、改憲は得でしょうか、それとも損でしょうか。
私は得だと思います。大統領になって4年間国政をうまく運営できれば、再び4年間大統領になれる道が開かれるのです。もちろん再選はそう簡単にはいかないかもしれませんが。
大統領選候補が増える任期のためだけに改憲に賛成するなら、あまりにも薄っぺらく見えるでしょう。実はもっと重要な政治的利益があります。改憲してこそ、失敗しない大統領になることができます。成功した大統領になれるのです。
現行憲法は、よく見ると大統領に権力は半分だけ与え、責任は一人で負わなければならないように設計されています。誰が当選しても成功するのは難しいのです。
大統領制の慢性的な問題点、誰もが知っているのに
現行の憲法体制でイ・ジェミョン大統領やホン・ジュンピョ大統領なら成功できるでしょうか。私は難しいと思います。改憲で権力と責任を一致させない限り、成功した大統領は出てきません。
改憲に反対して身を滅ぼした次期大統領選候補の実際の事例があります。盧武鉉大統領が任期末に再選可能な4年任期の大統領制に変える「ワンポイント改憲」を提案しました。当時、朴槿恵議員は「本当に悪い大統領」だと言い放ち、それを頓挫させました。そしてどうなったでしょうか。大統領になったが弾劾され、刑務所に行きました。
改憲したからといって政治が一夜にして良くなるわけではありません。しかし、大統領制の弊害がこれ以上耐え難いほど深刻になっている現実を考えてみてください。
良い大統領さえ選べば、韓国という国がうまくいき、韓国国民が幸せになれるのでしょうか。そう主張する人がいるなら、詐欺師かもしれません。要注意です。