新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大で非常事態を迎えた北朝鮮が、中国と支援策について協議していることが分かった。
16日、北朝鮮関連消息筋は本紙に「北朝鮮と中国が防疫と関連した支援案について話し合っていると聞いた」と話した。マスクなど防疫物品をはじめ中国産ワクチンや解熱剤などを支援する案が協議されているものとみられる。北朝鮮では新型コロナワクチンはもちろん、マスクや解熱剤なども不足している。
北朝鮮はこれまで厳しい国境統制を通じて「新型コロナ清浄国」であることを掲げてきたが、最近発熱者が120万人を超え、死亡者も50人以上発生するなど、新型コロナの感染拡大が急速に進み、外部の支援を受けざるを得ない状況に追い込まれた。北朝鮮は12日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の主宰で第8期第8回政治局会議を開き、「2020年2月から今日に至る2年3カ月間、堅固に守ってきた我々の非常防疫戦線が破れる『国家最重大非常事件』が発生した」という事実を認め、「朝鮮中央通信」などで被害状況を公開している。
これに対し、韓国をはじめ国際社会が支援の意思を表明しているが、北朝鮮の視線はひとまず中国に向けられている。「朝鮮中央通信」の14日付の報道によると、金正恩国務委員長は政治局協議会で「中国党と人民があげた先進的で豊かな防疫の成果と経験を積極的に見習うべき」だと述べた。これに先立ち、中国外交部の趙立堅報道官は13日の定例記者会見で、「我々は北朝鮮と防疫協力を強化する」とし、「北朝鮮の要請に応じて支援を行う」と明らかにした。
だが、中国でも新型コロナの感染が広がっており、北朝鮮に対する支援が十分に行われるかは不透明だ。3~4月から上海と北京で発生した新型コロナルイスの拡散が沈静化せず、中国全域の医療資源を両都市に集中させている。
北朝鮮は昨年、中国のワクチン支援を拒否したという。当時、北朝鮮に新型コロナ感染者がいない状態であり、中国産ワクチンに対する信頼度も低かったためとみられる。北朝鮮はそのかわり、中国産ワクチンを研究用として若干購入したという。