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丸腰の民間人を殺害したロシア軍、高画質の証拠は消せなかった

登録:2022-05-14 04:58 修正:2022-05-14 07:41
ロシア兵士たちが後ろを向いて歩いているウクライナ人の守衛に向かって発砲している=BBC放送画面よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 国連人権理事会がロシアの戦争犯罪調査に乗り出すことにした中、ロシア軍が工場の建物を守っていた守衛など丸腰のウクライナ民間人2人を射殺する場面が鮮明に撮られた防犯カメラの映像が公開された。

 英国のBBC放送は12日(現地時間)、ロシアの兵士たちが自転車工場の建物の守衛など2人に後ろから発砲する場面が撮られた防犯カメラの映像を公開した。同放送はこの映像がウクライナの首都キーウと周辺の主要道路で激しい戦闘が起きた時に撮られたものだと明らかにしたが、撮られた日付や位置などは詳しく公開しなかった。

 映像によると、重武装したロシア兵士たちが閉鎖した工場の建物を壊そうとするのを見た工場の守衛のレオニード・プリアツさんが正門に近づいた。兵士たちは彼と会話を交わした後帰ろうとし、彼も工場の中に入った。だが、兵士2人はまもなく戻ってきて、自分たちに背を向けて歩いていたプリアツさんに銃撃を加えた。BBCが入手したこの工場の別の防犯カメラの映像には、銃に撃たれたプリアツさんが足を引きずりながら建物の中に歩いていく姿が収められていた。

 また別の映像では、工場内に入ってきたロシア兵士たちがカメラで撮られていることも知らず、服を着替えるなどの行動をしていたものの、後で防犯カメラを確認し、カメラを壊す場面も録画されていた。

 BBCは、プリアツさんの上司は現場で死亡し、プリアツさんは自ら止血して電話で助けを求めたと報じた。だが、周辺状況が危険で救助隊が直ちに到着できなかったため、命を救うことはできなかった。彼を助けるため現場に向かったサーシャという人物は「電話で彼を落ち着かせ、すぐ助けに行くと言ったが、不幸にも私たちが到着したのは彼が亡くなった後だった」と語った。BBCはウクライナ検察がこの映像を確認した後、戦争犯罪の調査に乗り出したと報道した。

ロシア兵士たちに銃で撃たれた工場の守衛が足を引きずりながら歩いている=BBC放送画面よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 国連人権理事会は同日、特別会議を開き、ロシアの戦争犯罪疑惑を調査することを決議した。ロイター通信などが報じた。人権理事会は、ウクライナの首都キーウ周辺とスミなどロシア軍が占領した地域に対する戦争犯罪調査に乗り出す内容の決議案を、47理事国のうち33カ国の賛成で議決した。中国とエリトリアは決議案に反対し、インドやパキスタン、キューバなど12カ国は棄権した。理事国の資格が停止され、人権理事会を脱退したロシアは会議に出席しなかった。

 国連児童基金(ユニセフ)は同日、4月だけでウクライナの児童約100人が戦争中に死亡したと発表した。ユニセフのオマール・アブディ事務局次長は「私たちが確認した児童の死亡数だけで4月に約100人で、実際の死亡者ははるかに多いだろう」と述べたと、英紙「ガーディアン」が報じた。同事務局次長は「砲撃や空襲などにあった学校も数百カ所に達する」とし、学校に対する攻撃中止を求めた。

 国連難民機関(UNHCR)は戦争を逃れてウクライナを抜け出した国外難民が11日で600万人を超えたと発表した。このうち約327万人がポーランドに待避しており、89万人がルーマニアに入国した。ロシアに移った人たちも78万人にのぼる。

 一方、ロイター通信によると、欧州連合(EU)はロシアによる黒海沿岸の封鎖で輸出に支障をきたしているウクライナの穀物輸出を助けることにした。EUは、数千万トンの穀物が足止めされているとして、加盟国と協力して鉄道などを通じて輸送を支援すると明らかにした。欧州委員会のアディナ・バレアン委員(運輸担当)は「これまでEUの基盤施設を利用してウクライナ産穀物2000万トンの輸出を支援した」として、穀物輸送拡大のために運送企業などの支援も要請した。

 CNNによると、国連世界食糧計画(WFP)のデービッド・ビーズリー事務局長は同日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にウクライナの穀物輸出のため黒海の港を開放するよう求めた。ビーズリー事務局長は「港の封鎖が原因で、世界で数百万人が(食糧不足で)死亡することになるだろう」とし、「あなたがウクライナについてどのように考えているかに関係なく、世界の残りの地域を考える気持ちがあるならば、港を開放すべきだ」と述べた。

シン・ギソプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1042743.html韓国語原文入力:2022-05-1311:45
訳H.J

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