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韓国、金融引き締め本格化で「不動産シャドーバンキング」ショックに警告音

登録:2022-04-12 10:27 修正:2022-04-12 12:40
クリップアートコリア提供//ハンギョレ新聞社

 金融界に衝撃を与えかねない韓国内の不動産「シャドーバンキング」の規模が、3年間で90%近くも急増し、200兆ウォンを超えたという分析が出た。国内外の緊縮が本格化し、不動産投資商品に対する警告音が鳴っている。

 韓国金融研究院のシン・ヨンサン先任研究委員が10日にまとめた報告書によると、システムリスクを誘発し政策対応が必要な国内の不動産のシャドーバンキングの規模は、1月末現在で750兆3000億ウォン(約76兆円)となり、史上最大値を更新した。不動産のシャドーバンキングとは、銀行システムの外にあり健全性の規制を受けない不動産ファンドや信託、プロジェクトファイナンス(PF)融資などの不動産金融投資商品のことをいう。低金利の長期化で投資先のなかった市中の資金が、これらの商品に流れ込んだのだ。報告書によると、今後の不動産の景気変動によって、不良化や買い戻しなどで金融界全般に衝撃を与えうるシャドーバンキングの規模は、全体の27%である202兆6000億ウォン(約20兆5000億円)と推算される。2018年末(107兆4000億ウォン=約10兆5700億円)と比べると、88.6%も急増している。これにより、最近の世界的な金融引き締めで不動産市場が調整を受ければ、これらの商品の収益率が下落し、投資家の被害はもとより業界の資産の健全性も低下する危険性が高まるだろうという懸念が出ている。

 商品別では、海外不動産ファンドが67兆6000億ウォンで最も多かった。この商品は、国内外の販売会社と運用会社、代行会社などの複雑な利害関係が絡んでいる上、投資対象国の取引慣行と法制度もそれぞれ異なり、危険度が高く、為替変動リスクにもさらされている。そのため取引相手の危険性に対する事前点検が必須だ。

 PF融資は銀行・保険を除いた貸付(36兆1000億ウォン)に雷管が潜んでいると評価された。中小証券会社と与信専門会社がこれまで不動産市場の好況に乗って攻撃的にPF融資を拡大してきたため、投資資産の価値が落ちた場合、財務の健全性が損なわれる可能性があるからだ。PFと連携した流動化証券(38兆3000億ウォン)と債務保証(37兆4000億ウォン)も同時に不良化する危険性がある。特に、流動化商品は満期が3カ月以下の場合がほとんどで、市場が不安になれば証券会社の流動性の危機に直結しうると報告書は指摘した。さらに、外部の衝撃に脆弱になったこれらの証券会社と資産運用会社の金融業界間の相互連携取引が急増し、有事の際には銀行を含めた金融界全般に危険が転移する可能性も高まったとみている。

 不動産信託は、信託会社が責任竣工の義務を負う借入型土地信託・責任竣工型管理信託(22兆3000億ウォン)の危険性が高まっている。この信託商品には退職年金が多く加入しているという。

 シン研究委員は、「国内の不動産市場も利上げと供給拡大で調整過程が進められる可能性が高い」とし、「シャドーバンキングの商品の危険性に対するモニタリングと管理を強化すべきだ」と提言した。

ハン・クァンドク先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1038270.html韓国語原文入力:2022-04-11 02:18
訳C.M

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