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[キム・ヒョスン コラム] 長崎港の赤いダイヤ

登録:2010-02-08 14:27

原文入力:2010-02-07午後08:43:06(1567字)

キム・ヒョスン論説委員

日本の作家,遠藤周作の文学館は長崎市から佐世保方向に行き、美しい景観を眺望できる場所にある。長崎と直接縁のない彼が1996年に亡くなり4年後にこちらに文学館が建てられたのは、代表作の一つである<沈黙>の作品世界と関連がある。天主教信仰を厳しく禁じてた江戸幕府の時に布教活動を行った若いポルトガル人神父の苦悩を描いた小説だ。日本最初のカトリック殉教者26人が処刑されたところも長崎だ。

長崎はまた被爆都市という悲しい歴史を抱いている。都市が山に囲まれているために、それでも被害が相対的に少なかった。広島に投下された原爆の威力はTNT火薬1万5000tで約14万人が犠牲になった。長崎上空500mで爆発したプルトニウム型原爆は広島に比べ爆発力が1.5倍だったが犠牲者は半分だった。

先月下旬、日帝強制支配の未だ癒えない傷を取材するために長崎に立ち寄った。出発する前にインターネットで長崎駅から歩いて行けるビジネスホテルを探し、アパホテルを予約した。現地に到着し宿泊手続きを終え、部屋に入ると<報道されない近現代史>というおかしな題名の本があった。日本語と英語の翻訳文を対応させたものもあったが、どこかで聞いたことのある‘タモガミ’という名前があった。タモガミ? すぐに思い浮かぶことがあった。2008年に航空幕僚長として在職している間、日本の侵略行為を正当化する文を発表し切られた人だ。

事情を調べてみると、ホテル事業部門を含むアパグループの所有者は元谷外志雄(モトヤ トシオ)という保守的財界人だ。彼の著書<報道されない近現代史>は防衛や歴史教育問題で極右的論調を展開する産経新聞社から出版された。彼が主催した‘真の近現代史観’論文懸賞公募で最優秀賞に初めて選ばれたのが田母神の‘日本は侵略国家であったのか’であった。元谷は毎年、政・財界要人と自衛隊現職幹部らを招請し‘日本を語るワインの会’も斡旋する。殉教と被爆の都市 長崎で、極右的主張をする本が置かれているホテルに投宿することになるとは想像もできなかった。

しかし長崎は被爆都市と対外的に掲げているほどに平和な都市ではない。今年に入り、日本公営放送<NHK>で大河ドラマを放映し再び脚光を浴びている歴史的人物が坂本竜馬だ。土佐藩(現在の高知県)の下級武士だった坂本は敵対関係にあった薩摩(鹿児島)と長州(山口県)の同盟を斡旋し、明治維新の産婆役と評価されている。坂本と同郷出身で一才年上だったもう一人の人物が、三菱財閥の創業者岩崎弥太郎だった。幕末期に長崎に来て外国交易を担当した岩崎は明治維新の実力者たちと親密な縁を結び、造船・鉱業などの多くの分野に事業を拡張していった。

三菱財閥は日帝の戦争遂行の先頭に立った。太平洋戦争初期、日本が世界最高水準の戦闘機と自慢したゼロ戦 艦上戦闘機は三菱重工業の航空機分野で生産された。重工業傘下の長崎造船所では巨艦 武蔵をはじめとして数多くの艦艇が進水した。今でも最新型イージズ級艦艇がこちらで次から次へと建造されている。日帝時に三菱財閥が経営した造船所や離れ島の海底炭鉱に数多くの朝鮮人たちが連行され多くの苦難に遭った。日本の旧財閥の中で三菱系列ほど不幸な過去史を隠し真相調査に対する非協力をを貫くところは他例を探し難い。赤いダイヤ3つからなる三菱のロゴは、長崎造船所の巨大なクレーンで今日も光を放っている。

キム・ヒョスン論説委員 hyoskim@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/403383.html 訳J.S