昨年、韓国経済は4%成長した。ここ11年で最高の値だ。新型コロナウイルス禍という未曾有の災厄の中でも政府、企業、家計などの経済主体が骨身を削る努力をしてきた結果だ。ただしこの2年間の平均成長率は、コロナ禍以前の水準を回復できていない。さらに今年はコロナ禍の不確実性が依然として存在する中、米国と中国の景気減速、インフレの長期化、金融緊縮など、乗り越えるべき難題も多い。
韓国銀行が25日に発表した資料「2021年の実質国内総生産(GDP)」によると、韓国経済は昨年4.0%成長し、2010年以降で最も高い成長率を記録した。政府の昨年の成長目標とも一致する。1年前のマイナス成長による基底効果と民間消費・輸出・政府支出などのすべてが成長に寄与した。昨年第3四半期の成長率は0.3%にまで低下し、目標達成は難しいとの懸念もあったが、第4四半期に民間消費が持ち直し、何とか4%を達成した。特に年間民間消費の伸び率は3.6%で、2010年以降で最も高かったが、災害支援金をはじめとする政府の積極的な財政支出が景気を強く下支えしたと見られる。
しかし、昨年の成長率目標を達成したと言っても、コロナ禍以前の水準をまだ回復していないことに注目しなければならない。2020年と2021年の年平均成長率は1.5%と、2018年と2019年の2.6%はもちろん、韓国の潜在成長率である2%台中後半にはるかに及ばない。これは雇用指標にも表れている。全般的な雇用状況を最もよく示す指標である雇用率(15~64歳の人口に就業者が占める割合)は昨年66.5%で、2019年(66.8%)より低い。特にコロナの打撃を最も受けた卸・小売、宿泊飲食店業の雇用は2年連続で大幅に減少している。
政府は昨年12月、今年の成長率予測値を3.1%とした。経済主体がコロナ禍に適応することで民間消費が引き続き回復の流れに乗るとともに、対外経済環境の改善で輸出も堅実な成長を続けるとの期待が、このような見通しの根拠だ。ところが年初からオミクロン株の拡散によって経済活動の制約が続く見通しであるうえ、米国や中国などの景気が減速するとの懸念、世界的なインフレの長期化、主要国の通貨政策の正常化など、国内外の不確実性が高まっている。韓国は家計負債の負担が非常に重く、金利引き上げによる消費萎縮や脆弱な債務者の負債の不良化などが懸念される。今年の成長率目標の達成は難関にぶつかる可能性が高いということだ。このような時であればあるほど、財政の役割が何よりも重要だ。政府は効果的な防疫対策を通じて経済活動を最大限正常化し、自営業者などの脆弱階層への支援や物価の安定化、グローバル・サプライチェーンの管理などに政策の力量を集中すべきだろう。