国政壟断事件などで懲役22年を宣告され収監中だった朴槿恵(パク・クネ)前大統領が、31日0時から自由の身になり、今後の同大統領の住居に対する関心も高まっている。朴前大統領は2017年にソウル市江南区三成洞(カンナムグ・サムソンドン)の自宅を売却し、瑞草区内谷洞(ソチョグ・ネゴクトン)に私邸を購入したが、国政壟断事件の確定判決にともなう罰金と追徴金返還の過程で内谷洞の私邸が公売処理されたため、現在は帰る家がない状態だ。
朴前大統領は、先月22日からソウル市江南区のサムスンソウル病院で入院治療を受けている。24日に特別赦免と復権の対象になった朴前大統領は、今月31日午前0時に解放される。朴前大統領の赦免手続きは、法務部の矯正職員が病院から撤収する形で実施される予定だ。
朴前大統領は赦免後も肩の疾患と椎間板ヘルニアなどの持病、歯科、精神健康医学科などの治療のために当分は病院に残る予定だ。朴前大統領の弁護人であるユ・ヨンハ弁護士は26日、ハンギョレとの通話で「医療スタッフの検診結果により朴前大統領は少なくとも来年2月2日までは病院で治療を受ける予定だ。今後の治療経過によっては、病院にさらに留まることもありうる」と話した。
朴前大統領が退院後に住む家はまだ決まっていない。検察は今年2月、朴前大統領の罰金と未納追徴金を執行するために内谷洞の自宅を差し押さえ、公売に付した。朴前大統領は今年1月、国政壟断と国家情報院特殊活動費上納など(特定犯罪加重処罰法上の賄賂など)の容疑で最高裁(大法院)で懲役20年および罰金180億ウォン(約17.3億円)、追徴金35億ウォン(約3.4億円)の確定判決を受けた。これに先立って2018年11月には、セヌリ党(国民の力の前身)の公認過程に不法に介入した容疑で懲役2年が確定した。追徴金35億ウォンは強制追徴などの過程で全額納付され、罰金は180億ウォンのうち30億ウォンだけが納付された状況だ。今回の赦免により、朴前大統領は未納の罰金約150億ウォンの免除を受けることになった。
朴前大統領の内谷洞の自宅は、芸能企画会社IOKカンパニーが9月に約39億ウォン(約3.7億円)で落札した。朴前大統領は2017年3月に三成洞の自宅を売却している。ユ弁護士は「朴前大統領の住居は現在探している。まだ決まっていない。まずは治療に専念する計画」だと話した。朴前大統領も24日、特別赦免発表直後に立場文を発表し「身体の治療に専念し、早く国民の皆さまに直接感謝のごあいさつができるようにする」と明らかにした。一方、朴前大統領の弟のパク・ジマンEG会長が住居の用意に乗り出すという見方もあるが、朴前大統領側は可能性が高くないとみている。
朴前大統領が特別赦免で解放されても、関連法により前職大統領に提供される礼遇は回復せず、警護と警備(周辺を守ること)などの礼遇は維持される。「前職大統領礼遇に関する法律」によれば、在職中に弾劾された場合には年金、記念事業、秘書官および運転手、病気治療、交通・通信および事務所提供などの礼遇は剥奪される。ただし、警護と警備は提供できると定めている。