ロイド・オースティン米国防長官が4日(現地時間)、「中国に対抗して同盟を強化する」としながらも、アジア版北大西洋条約機構(NATO)や反中国連合の構築を目指しているわけではないと述べた。
オースティン長官は同日、カリフォルニア州シミバレーで開かれたレーガン国防フォーラム(RNDF)の基調演説で、日増しに高まる中国の軍事・技術の脅威に対応するため、太平洋の同盟国と米国の企業がさらに努力するよう要請する意向を示した。「米国はどの独裁国家も肩を並べることのできない自由な企業、自由な考え、自由な人々という長所を持っている」としたうえで、「我々が技術的優位を維持すれば、軍事的優位も維持できる」と述べた。
オースティン長官は、中国との競争を強調しながらも、同盟国に米中の二者択一を迫るわけではないと述べた。また「米国はアジア版NATOの構築を追及したり、反中国連合の結成を目指しているわけではない」とし、「我々は米国と中国のいずれかにつくかを選ぶよう求めない」と述べた。その代わり、同盟国との協力を強化していくとし、オーストラリアに中国を牽制するための原子力潜水艦の保有を支援することにした点を例に挙げた。米国のジョー・バイデン大統領は今年9月、米国・オーストラリア・英国による安全保障枠組み「オーカス(AUKUS)」の創設を発表した。
オースティン長官の発言は、インド太平洋地域での同盟を「反中国」の旗の下に一つの機構として結集するよりも、個別国家との協力強化やオーカス、クアッド(米国・日本・インド・オーストラリアによる安全保障と経済協力枠組み)、ファイブアイズ(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドによる機密情報共有の枠組み)、韓日米の三角協力など、様々な装置で中国と競争するという意味とみられる。