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中国MeToo運動のシンボル、弦子さん「韓国のn番部屋事件糾明、大きな力に」

登録:2021-11-15 09:59 修正:2022-05-24 07:20
中国のMeToo運動の象徴である周暁璇さん(中心)が9月14日、北京の裁判所の外で支持者たちに向かって話しながら、涙を拭っている=北京/EPA連合

 「難しいけれど必ず成し遂げなきゃならない闘いです。韓国のn番部屋(テレグラム性犯罪)事件糾明は、私たちに本当に大きな力をくれました」

 中国の#MeToo運動の象徴である周暁璇さん(28)をインタビューするのは容易ではなかった。中国版ツイッターの「微博(weibo)」のアカウントを探してメッセージを送り、アカウントが止められたのち、またアカウントを変えて送るという過程を2回繰り返した末に、今月1日、周さんとオンラインで向き合うことができた。韓国メディアとしては初めてだ。

 「弦子(シエンツー)」という愛称でより知られている周さんは、2018年7月、中国中央テレビ(CCTV)の看板アナウンサーの朱軍氏(57)から性暴力を受けた事実を暴露して以来、3年間苦しい闘いを続けている。朱軍氏は1997年から2017年まで中国人10億人以上が視聴するという春節(旧正月)の特集番組「春節晩会」の司会を務め、中国共産党の政治諮問機関である中国人民政治交渉会議の委員でもある放送界の強大な実力者だ。

 今年9月14日、北京裁判所は弦子さんが朱軍氏を告訴してから3年、事件発生から7年目にして一審判決を言い渡した。結果は証拠不十分。朱軍氏に無罪判決が下された。裁判所は「2014年6月、大学3年生の実習生だった頃、北京の中国中央テレビの楽屋で朱軍氏から30~40分間無理やりキスされ体を触られるなどの強制わいせつ行為を受けた」という弦子さんの主張を受け入れなかった。

 弦子さんはこの判決について、「手続き上の正義に大きな問題がある」と述べた。性暴力が発生した翌日、弦子さんは北京公安に通報したが、捜査はまともに行われなかった。「北京公安が遠く離れた武漢に住む両親に、この事件を問題視しないよう要求し、覚書を取ってきたんです」。この過程で公安は「相手は有名人で、あなたの娘は大学生にすぎない」と言い、両親と弦子さんに圧力をかけたという。公安は事件当時、弦子さんがはいていたスカートを証拠として持ち帰った後も返却しておらず、廊下にあった防犯カメラの映像もなかったと否定している。朱軍氏に対する調査も1回で終わった。

周暁璇さんが今月1日、オンラインのインタビューで発言している=zoom画面よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 弦子さんの闘う相手は朱軍氏と司法当局だけではなかった。#MeToo運動やフェミニズムを不穏と見なす中国政府や、その影響力の下で#MeToo運動を妨害したり無関心を助長するソーシャルメディア会社やメディアとも闘わなければならない。

 彼女自身、3年間このようなことを経験している。「インタビューを受けても記事が出ないのが日常茶飯事です。たとえ記事が出ても、1~2時間後には削除される場合が多い。私を支持する微博アカウントはすぐ使用が止められます」

 2018年初め、韓国で「#MeToo運動」が始まった後、中国のソーシャルメディアでも少なからぬMeTooの暴露が相次いだが、すぐにほとんどが削除された。中国のソーシャルメディアでは、英語で「Me Too」という単語もうまく検索されない。

 今月2日夜、中国の有名テニス選手の彭帥さん(35)が、2010年代半ばから受けた中国の政治序列7位内だった張高麗・元国務院副首相(75)の性的暴行を暴露したが、中国メディアではこれに関するニュースは見当たらない。弦子さんは「この事件は、中国に権力型性暴力が蔓延しており、これに対する反省は不十分だという点を示している」と指摘した。

周暁璇さんが9月14日、支持者とともに北京の裁判所に向かっている/AFP・聯合ニュース

 あらゆる困難にも関わらず、3年間あきらめずに闘うことができたのは、見えない所にいる女性たちの支持と応援のおかげだった。「MeToo宣言後、一番嬉しかったのは、私と同じような経験をした人たちから受けた励ましと応援でした。性暴力を受けたのは私のせいじゃない、あの日私が着ていた服装に問題があるわけじゃないって…こうした慰めをいつも受けてきました」

 2019~2020年に韓国社会で燃え上がった「テレグラムn番部屋性犯罪事件」も大きな力になった。「韓国のn番部屋事件の糾明は、中国の女性運動に本当に大きな影響を与えました。若い女性たちが集まって声を上げ、社会的影響力を行使し、法を変え、変化を作っていくというのを直接見せてくれたから。私たちにとって、特に私にとって大きな励みになりました」

中国のMeToo運動の象徴となった周暁璇さん=本人提供//ハンギョレ新聞社

 弦子さんは裁判は負けたが、闘いでは勝っている。2018年に初めて訴訟を起こした時は、中国民法に性暴力関連の規定がなかったが、昨年新しい項目が設けられ、今年から施行された。今年1月に施行された民法第1010条は、性暴力被害を受けた場合、加害者を告訴でき、機関や組職はこのような行為を防止し調査しなければならないと明示している。

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1019283.html韓国語原文入力:2021-11-15 07:59
訳C.M

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