本文に移動

来月1日、母校の早稲田大学に「村上春樹ライブラリー」開館

登録:2021-09-24 05:42 修正:2021-09-24 06:23
東京新宿の早稲田大学にある村上春樹ライブラリーの様子=早稲田大学国際文学館のホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 「早稲田大学の新しい文化の発信基地になってくれるといいなと思います。学生たちが自分たちのアイデアを自由に出し合って、それを立ち上げていけるための場所になるといいなと思っています」

 世界的な人気作家の村上春樹さん(72)は、自分が寄贈した1万点以上の資料を展示する文学館の開館を控え、22日に早稲田大学で開かれた記者会見でこのように語った。「早稲田大学国際文学館」、通称 「村上春樹ライブラリー」は、東京新宿の早稲田大学キャンパス内に作られ、来月1日に開館する。早稲田大学は村上さんの母校だ。村上さんは「本当は僕が死んでから、こうした施設を作ってもらえるとよかったが、生きているうちにできてしまって、すごく緊張している」と感想を述べた。そして「もし私が犯罪を犯したりしたら、すごく困ったことになるだろう」と冗談を言い、「生きているうちにできたからには、できるだけ協力して、僕のイメージする環境をつくっていきたいと考えている」と文学館への愛着を示した。

 新型コロナの感染拡大で大変な時期を送っている若者たちにも労いの言葉をかけた。村上さんは「人は自分の過去・現在・未来を物語化しないことにはうまく生きていけない。今の若い人が自分の未来について、ポジティブな物語を上手く作れているだろうかということを最近よく考える。コロナ禍という特殊な状況下で、多くの若い人は自分の未来について、どちらかというと薄暗いビジョンしか抱けていないんじゃないかなという気さえする」と述べた。村上さんは「いつの世の中でも、どんな形でも、理想みたいなものはあるべきだと思う」と強調した。

東京新宿の早稲田大学にある村上春樹ライブラリーの内部の様子=早稲田大学国際文学館のホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 地上5階、地下1階規模の同文学館は、早稲田大学4号館の建物を日本の有名建築家、隈研吾さんが改築した。隈さんは同日の記者会見で、「春樹さんの文学は、日常の世界から突然違う世界にポンと入ってしまう。そんな空間を作れたらいいと思った」と話した。村上春樹の文学的特性を建築で再現したわけだ。

村上春樹=文学トンネ提供//ハンギョレ新聞社

 地下1階から地上2階までは村上さんがこれまでに発表したすべての作品と関連書籍など約3千冊が展示され、自由に見ることができる。村上さんの書斎を再現した空間に加え、彼が直接経営したジャズカフェで流したレコードなどを聞くことができるオーディオルームも用意されている。3階と4階は研究エリアで、村上さんの直筆原稿や、小説を書きながら参考にした資料が並んでいる。一般公開はしない。早稲田大学は、村上さんの意思に従って、同文学館を海外の学生と研究者の交流の場に活用し、世界文学の研究拠点に育てるという目標も立てている。

 文学館の改築にかかった費用12億円は、ファッションブランド「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が寄付の形で負担した。文学館は無料で観覧できるが、新型コロナの感染拡大状況を考慮し、当分の間は事前予約制で運営される予定だ。すでに来月末まで予約が埋まっていることから、村上さんの人気を実感する。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1012525.html韓国語原文入力:2021-09-23 20:06
訳H.J

関連記事