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[記者手帳]韓国のMZ世代は本当にニュースに関心がないのだろうか

登録:2021-09-04 10:39 修正:2021-09-04 13:13

 「漢江の大学生死亡事件、犯人は誰なの?」「アストラゼネカとファイザーのワクチンの違いは何?」 「ビットコイン、今からでも始めた方がいい?」「五輪の棒高跳びの選手は棒をどう運ぶの?」「ユン・ソクヨル(前検察総長の)Xファイルは見た?」

 記者生活7年目となり、記者ではない別の職業を持つ友人と会うと質問攻めにあうことがよくあります。記者であるという理由で政治・社会・経済・文化・国際・スポーツなど分野を問わずに質問されますが、恥ずかしいことに「出入先じゃないからよく分からない」と言葉を濁すことが多くあります。担当する出入先のニュースに気を配るのに忙しいと言い訳して、他の分野のニュースをおろそかにしていたせいです。移動中や休憩中にも、ユーチューブやSNSのアルゴリズムが探し出してくれる「趣向に合ったニュース」を中心に見てはいました。自然に関心事は狭くなりました。

 ニュースを見る視野を広げてくれたのは「ニュースレター」です。去年11月、ハンギョレニュースレターを作るチームに異動してから、レターで紹介する記事を選ぶために幅広い分野のニュースを選り好みせず見ました。特に、日刊ニュースレター「7:30」は、ハンギョレの当日記事を紹介するという特性上、毎朝各部署の記事を丁寧にチェックしなければなりませんでした。新聞の一番前の1面から最後の紙面のコラムまで。新聞を最初から最後まで精読していた記者見習いの頃に戻ったようでした。

 ニュースを見る基準も変わりました。記事を何面に配置するか、分量を何枚で書くかはあまり重要ではなくなりました。このニュースがなぜ重要なのか、読者が興味を持つかどうかに重点を置きました。すると、これまで関心のなかった宝物のような記事が目につき始めました。「動物福祉畜産」の先駆者として名を馳せたスペインで豚が腫瘍や脱腸のような深刻な病気に苦しんでいることを暴露した記事や、民間企業が宇宙観光事業に参入しているという記事が代表的です。「時間がある時に読もう」と後回しにしていた長文記事の土曜版(ハンギョレS)や、「ハンギョレ21」の記事を待つという楽しみもできました。

 狭くなっていたのは、ニュースを見る視野と基準だけではありませんでした。私たちのチームはニュースレターを最初に作る時、レターごとに主要ターゲット読者を分けました。「7:30」は紙のハンギョレ新聞を読む従来の読者の方、週刊ニュースレターの「フィークリー」は就活生からチーム長クラス以下の会社員の方たちです。好きな分野やテーマごとにコンテンツを選んで読むMZ世代(1981~2010年生まれ)には、「7:30」は訴求力が相対的に落ちるという偏見があったのです。しかし、予想は見事に外れました。この1カ月間の「7:30」レターの新規購読者を見ると、77%がMZ世代でした。2030世代(20~30代)に狭めても購読者は68%と圧倒的でした。

 MZ世代の関心は読者の反応からも確認することができました。就活生だと名乗る読者の方は「社会が私たちの苦しさを認知しているという思いがして安心した」という意見を残しました。「教育費用を減らすためにキャリア職採用に重きを置く企業採用方式」に問題提起した既成世代の記者のコラムに励まされたというのです。「政治・経済について知識が全くないほど関心がなかったが、今からでも常識を積みあげて国の状況をちゃんと把握したい」という大学生購読者の意見もありました。読者のフィードバックを見て、こんな風に思いました。「MZ世代は世の中に関心がない」、「見たいニュースだけを見る」と批判する前に、MZ世代に多様なニュース、本当に必要なニュースに接する機会をどれほど与えていたか、ということです。

 私はいつかまた出入先の決まった記者に戻ることになります。そして友人たちの質問に相変らずすっきりと答えられないかも知れません。しかし、以前のように朝の記事発行に追われて慣性で出入先のニュースだけを見ることはなさそうです。そして、私の記事が何面に配置されるかよりも、読者の方々が知りたがっていることを捉え、きちんと答えられたかを優先するのではないでしょうか。私は記者である前に、多様な世界が知りたいMZ世代ですから。

//ハンギョレ新聞社

クォン・ジダム|コンテンツ企画チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1010314.html韓国語原文入力:2021-09-03 19:18
訳C.M