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[記者手帳]「反タリバン」武装闘争は持続可能だろうか

登録:2021-08-23 07:50 修正:2021-08-23 08:38
21日、アフガニスタン政府軍の残存兵力が、反タリバン勢力の根拠地である北部パンジシール渓谷のダラー地域で軍事訓練を受けている=ダラー/AFP

 アフガニスタンを掌握したタリバンに抵抗する武装闘争は持続可能だろうか。

 20日(現地時間)、アフガニスタンの首都カブールの北16キロメートルに位置する山岳地域のプレヘサル、デヘサラ、バノの3カ所で、アフガニスタン政府軍の残存兵士らがタリバン戦闘員30人を射殺し12人を捕らえる戦闘を行ったというメッセージと動画がSNSに投稿されたと、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルなどの外信が21日に報道した。アフガニスタンのビスミラ・カーン・モハマディ前国防相代行はツイッターで彼らを「大衆抵抗軍」と呼び、「抵抗はまだ生きている」と書いた。

 親タリバンのツイッターアカウントも、この戦闘でのタリバン戦闘員の死者はその半数だと明らかにし、反タリバン武装闘争が発生したことを認めた。この戦闘は、タリバンがカブールを掌握した後に戦闘員が死亡するほど激しくなった初の反タリバン武装抵抗闘争だ。

 この戦闘は、タリバン戦闘員による家宅捜索に触発され、この地域の警察署長により主導されたと、アフガニスタン政府の官僚が伝えた。タリバンのカブール掌握により瓦解したアフガニスタン政府軍の一部残存兵力が交通条件が劣悪なこの山岳地域に退却したと、ニューヨーク・タイムズは報じた。

 1990年代のアフガニスタン内戦期に反タリバン勢力の拠点だった北部パンジシールでも反タリバン蜂起が起き、同盟が再結成されている。アフガニスタンのアムルラ・サレ前第1副首相はテキストメッセージを通じて、彼の軍の兵力と北部の武装勢力が「単一の指揮体系の下」にあると明らかにした。自らをアフガニスタンの臨時大統領と称するサレ氏は「抵抗は大きくなるはずだ」とし、「アフガニスタンは生きており、タリバンスタンにはならなかった」と述べたと、ニューヨーク・タイムズが報じた。

 パンジシール渓谷地域は、アフガニスタンに侵攻したソ連に対抗した1980年代のムジャヒディン闘争の際、最も強力だったムジャヒディン勢力を率いたアフマド・シャー・マスード将軍の根拠地だった。マスード将軍はソ連撤退後にカブールを占領し臨時政府を率い、1996年にタリバンにより追放された。彼はこの地域に戻り、北部同盟を結成し、反タリバン闘争を主導した。マスード将軍は2001年、9・11同時多発テロの2日前に記者を装ったアルカイダのメンバーの自爆テロにより死亡したが、北部同盟はその年の10月、米国のアフガニスタン侵攻時にタリバン政権を崩壊させる先導部隊の役割を果たした。

 北部同盟の主軸は、アフガニスタン北部のタジク族およびウズベク族の武装勢力で、タリバンはアフガニスタン最大の民族である南部のパシュトゥン族が中心だ。パンジシール地域の北部同盟の残存勢力などの反タリバン勢力の規模がどの程度なのかは現時点では不透明だが、軍閥としての勢力は維持してきた。

 これらの北部同盟の残存勢力とアフガニスタン政府の軍と警察の残存兵力が、単一戦線を結成しパンジシール渓谷地域で地理的利点を利用すれば、反タリバン武装闘争は威力を発揮できると見込まれている。しかし、決定的な条件が後押しされなければならない。外部支援だ。

 ソ連侵攻時のムジャヒディン、内戦期のタリバン、9・11後の北部同盟などのアフガニスタンの抵抗勢力が威力を発揮した根本的な理由は、外部支援だった。強大国や周辺勢力がアフガニスタンを影響圏にしようとする代理戦争を行い、アフガニスタン国内の抵抗勢力を支援したからだ。すでにアフガニスタン国内からは、かつてのような激しい代理戦争を行わなければならない外部勢力の動機は消失している。

 米国には、20年間のタリバンとの戦争の末に逃げるようにアフガニスタンから撤退するにあたり、反タリバン同盟を支援する意志も動機もない。特に米国は、現在の最優先課題であるアフガニスタン国内にいる自国と同盟国の市民や協力者の避難のためには、タリバンとの妥協を守り機嫌を損ねないようにしなければならない。米国防総省は、アフガニスタン政府の軍と警察の兵力は反タリバン戦闘に参加していないとして一線を画していると、ニューヨーク・タイムズは報道した。

 ソ連侵攻後にアフガニスタンに対する最大の外部勢力だったパキスタンは、タリバンの誕生と再建を助けた国であり、タリバン政権の強化が優先課題だ。中国とロシアも、タリバンのカブール占領の前後に行ったタリバンとの高官級接触を通じて、タリバン政府支持を示している。

 軍事力でも住民からの支持でもタリバンは圧倒的だ。北部同盟の軍閥が過去に性的暴行や拉致、通行料の徴収などにより住民らに恨まれたのに対し、タリバンは秩序回復を掲げ、非都市地域の住民の支持を獲得した。タリバンは、すでに撤収した米軍が捨てていった武器や装備まで取得し、武装している。

 北部同盟の指導者アフマド・シャー・マスード将軍の息子であるアフマド・マスード氏が、父親の足跡を追う準備はできたが武器と補給が必要だと訴えた17日のワシントンポストへの寄稿は、パンジシールの反タリバン勢力が孤立しているという証拠だ。彼は、米国などの外部支援がなければ、自分たちの兵力は長く持ちこたえられないと認めた。

 実際、タリバンは現在、パンジシールの主要補給路を遮断し封鎖していると、英国の日刊紙ガーディアンが現地事情に詳しい関係者の証言を引用し報じた。この関係者は「パンジシールに入るのは容易ではないが、タリバンははるかに強力だ」と伝えた。

 反タリバン勢力の意図は、武装抵抗よりも交渉だという観測もある。アフマド・シャー・マスード将軍の弟のアフマド・ワリ・マスード氏は、フィナンシャル・タイムズとの動画インタビューで、タリバンに自分たちを含めた政府の結成を促した。彼は「もし平和協定になるのであれば、皆が参加するだろう」とし、「しかし、協定がなければ、パンジシールだけでなく、アフガニスタンの女性、市民社会、若い世代など、すべての住民からの抵抗があるだろう」と述べた。ワリ・マスード氏は最近パキスタンを訪問し、イムラン・カーン首相に、タリバンがパンジシールを攻撃せずアフガニスタンのすべての民族を包容する政府の結成に同意するようにしてほしいと求めたと、同紙は報じた。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1008636.html韓国語原文入力:2021-08-23 02:15
訳M.S

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