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南北首脳「親書やりとり」十数回…最後の協力は結実するか

登録:2021-07-28 05:52 修正:2021-07-28 07:06
2018年4月27日、文在寅大統領と金正恩委員長が手を取り合って板門店の軍事境界線をまたいでいる=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 朝鮮戦争の痛みを噛みしめる休戦協定68周年記念日に発表された「南北通信連絡線回復」は、長い日照りの中の恵みの雨と評価できる。この恵みの雨が長い日照りで乾いた大地を潤して朝鮮半島に再び平和の花を咲かせる命の水なのか、猛暑を冷ますにはとても足りない通り雨なのかは、まだ予測することは困難だ。

 技術面のみを見れば、27日に実現した「南北通信連絡線回復」は、北朝鮮側が「対北朝鮮ビラ問題」を口実として、一方的に直通の連絡窓口を閉鎖した昨年6月9日以前へと状況を引き戻したものだ。南北直通連絡線が断たれる以前も、南北関係は2019年2月のハノイでの2回目の朝米首脳会談の決裂の影響で動揺していた。例えば、2018年12月14日の南北体育分科会談(開城の南北共同連絡事務所)以降、南北当局会談はこれまで一度も開かれていない。

 しかし、今回の南北通信連絡線の回復が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長が3カ月あまりの長い時間をかけて10回以上親書をやり取りした直接の意思疎通による南北の最初の共同実践措置であることを見過ごしてはならない。特に文大統領と金委員長が「相互信頼を回復し、和解を図る大きな一歩を踏み出すことについて合意した」との北朝鮮側の発表に注目する必要がある。

 このかん公開されてはいなかったものの、文大統領は4・27板門店宣言3周年をきっかけに北朝鮮に親書を送るという水面下の「親書による意思疎通」を続ける一方、韓米首脳会談などの様々な公式の会談と会議を通じて、中断していた「朝鮮半島平和プロセス」を南北主導で再稼働する道を探ってきた。文大統領は5月21日のワシントンでの韓米首脳会談で米国のジョー・バイデン大統領から「南北対話・関与・協力に対する支持」(共同声明)を取り付け、「南北関係の自主性」を広げるという成果を収めた。すると朝鮮労働党の金正恩総書記は、6月17日の党中央委第8期第3回全員会議において「朝鮮半島情勢を安定的に管理していくことに力を注がなければならない」とし、バイデン政権発足(1月20日)以降、朝鮮半島情勢に関する初の公開発言を行った。これは「善対善、強対強」という1月の労働党第8回大会での反応的・受動的対米態度に比べると、南北関係については相対的に「主動性」を強調したものと解釈できる。また「破局に直面した北南関係の収拾・改善対策を積極的に講じなければならない」とした労働党第8回大会の対南基調とも照応する。

 視野を広げれば、今回の措置は任期が10カ月も残っていない文大統領と金委員長が2018年の3回の首脳会談の成果(4・27板門店宣言、9・19平壌共同宣言、9・19軍事分野合意)を無駄にしないための戦略的行動であり、南北首脳主導で情勢を突破しようとする「最後の協力」との解釈もしうる。

 しかし、楽観は禁物だとの指摘も相次いでいる。南北関係に精通する多くの重鎮たちは、文大統領と金委員長の「最後の協力」が朝鮮半島をめぐる膠着を突破し、朝鮮半島平和プロセスの再稼働へと結実するには、差し迫っている8月の韓米合同軍事演習という難題を「賢明に克服しなければならない」と口をそろえる。新型コロナウイルスのデルタ株が世界で再び猛威を振るっている状況を大義名分として、文大統領が「演習中止」という決断を下すのが望ましいとの助言だ。もし、「規模が大幅に縮小された指揮所訓練」が避けられないのであれば、金総書記の「忍耐」が切実に求められるとの意見もあった。

 南と北が「韓米合同演習」というハードルを乗り越えれば、食糧やコロナ対応などの人道協力の再開を含む対話・協力局面が開かる可能性がある。米国は、先の韓米首脳会談を通じて南北間対話・関与・協力と人道支援の促進に同意している。状況の展開によっては、文大統領と金委員長の「オンライン首脳会談」が進められる可能性も排除できない。大統領府の関係者はこの日、本紙に対し「デルタ株の拡散などで首脳同士の対面会談の可能性は低いが、今回の連絡線回復を通じ、様々な必要事項を協議しつつ、オンライン会議程度は目指せるだろう」と語った。

イ・ジェフン先任記者、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1005371.html韓国語原文入力:2021-07-27 17:28
訳D.K

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