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[寄稿]心に刻む、韓国の「国連との約束」

登録:2021-07-01 01:44 修正:2021-07-01 07:53

 「韓国の支援で私の人生は変わりました。電気技術を学んで専門家になったし、家族を養う能力も身に付けることができました」。筆者が代表として勤務した韓国のアフガニスタン地方再建チーム(PRT)が運営した職業訓練院の卒業生のインタビューの内容だ。「アフガンのMIT(マサチューセッツ工科大学)」と呼ばれるほど高い名声を得ていたこの職業訓練院を通じて、400人以上のアフガンの若者が社会に出た。アフガン地方再建チームは、職業訓練院の他にも韓国の病院の運営、学校や保健所の建設、農業支援など、住民のための様々な再建事業も同時に進めた。このような政府開発援助(ODA)を通じて、多くの人々が自ら立ち上がり、生活を根本的に変えられるよう支援してきた。

 私たちも朝鮮戦争以降、国際社会から多くの援助を受けた。1950年代の国連韓国再建団などの多くの機関が、戦後復興の過程で様々な経済・社会的支援を行ってきた。そして韓国は1991年の国連加盟の際、それまで国連から支援を受けてきたことから、国際社会の平和と繁栄に貢献していくことを約束した。

 国連に加盟した1991年、韓国の開発経験をもとに、発展途上国の貧困を減らすことと暮らしの質の向上を支援するために、韓国国際協力団(KOICA)が設立された。その後、国際社会に対する貢献の規模は拡大を続け、今年の韓国のODAの規模は3兆7000億ウォン(約3620億円)にのぼる。にもかかわらず、一国の経済規模に対する海外援助の水準がどの程度なのかを示す、国民総所得(GNI)に対するODAの比率は、2020年で0.14%で、経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)の平均の0.32%を下回る。これに対し韓国政府は、国際社会により一層貢献するために、2030年までにODA規模を2倍以上とすることを目標としている。

 また韓国は、国連で2030年までに達成することに合意した持続可能な開発目標(SDGs)の履行に向けての努力も行っている。毎年この目標の履行状況を点検する国連のハイレベル政治フォーラム(HLPF)では、韓国の政策と支援状況を共有している。韓国内では2019年から「開かれたSDGsフォーラム」を開催し、韓国内外の持続可能な開発目標の履行状況を市民団体と共有するなど、民間部門とのパートナーシップを強化している。

 世界は新型コロナウイルス、気候変動、地域紛争など、複合的な課題に直面している。こうした中で韓国は、発展途上国のコロナ対応を支援するための「みんなの安全な世界のための開発協力構想(Building TRUST)」を通じ、総額1億6000万ドル以上を無償で援助してきている。グリーンニューディールのODAの割合を拡大することで、気候変動の緩和およびグリーン転換の拡散にも貢献している。地域紛争の根本原因の解決に貢献できるよう、人道支援、開発、平和活動の相互の連係も強化していっている。

 今年で韓国が国連に加盟してから30年になる。多くの支援を受けた韓国としては、国際社会の様々な課題を克服していく過程に参加しつつ、国連との約束を守り続けていかねばならない。

//ハンギョレ新聞社

ハム・サンウク|外交部多国間外交調整官 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1001631.html韓国語原文入力:2021-06-30 19:09
訳D.K