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[ルポ]7年間人権侵害なかったという「北朝鮮離脱住民保護センター」に行ってみると

登録:2021-06-24 02:23 修正:2021-06-24 08:06
京畿道始興市にある北朝鮮離脱住民保護センター=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 韓国入りした脱北者が社会に出る前に最初に滞在することになる「北朝鮮離脱住民保護センター」(保護センター)が7年ぶりに公開された。国家情報院(国情院)が脱北者調査施設である同センターを外部に公開したのは、人権侵害批判が起きた2014年に続き、今回が2度目だ。

 23日、京畿道始興市(シフンシ)にある保護センターで記者団を迎えたパク・チウォン国情院長は「まだ一部では過去のスパイ捏造事件を思い浮かべて保護センターを評価しているということは、よく知っている」とし「国情院創設60周年を迎え、保護センターは過去を踏まえて未来へと向かっているということを国民にお見せするために施設を公開した」と説明した。保護センターは、国家保安目標施設の「カ(A)」級に分類され、立ち入りが厳しく制限されている。最大500人まで同時収容できるが、現在ここに滞在している脱北者は10人足らずだ。

 この日、取材陣は、脱北者が初めて保護センターに足を踏み入れる入所室から始まり、生活室、調査室、人権保護官室、図書館と教育室、音楽室、食堂、体育館、コンピューター教育室、生活用品支援室、子どもの遊び部屋など、脱北者たちが滞在する間に利用するほぼ全ての施設を見て回ることができた。

 脱北者が最初に調査を受ける入所室は、検査台で所持品の検査が行われる場所だ。いわゆる「裸検査」は2017年に検査台が導入されてからはほとんど行われていないが、必要な際に使用される検査のための別室が隣に設けられていた。ここで最も多く回収されるのは、国内に持ち込めない医薬品だという。治療目的だと主張してイチヤクソウや死んだハリネズミを持ち込むケースもあった、と保護センターの関係者は述べた。

パク・チウォン国家情報院長が23日、京畿道始興市にある北朝鮮離脱住民保護センター内の調査室を記者団とともに見て回っている=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 入所した脱北者は、2~3週間は病気の治療や休息に充て、その後5~10日にわたり身元確認調査を受ける。脱北の動機や偽装脱北でないかなどが調査され、保護決定が下されるが、最大で90日ここに滞在することになる。2018年の法改正前の調査期間は最大で180日だった。

 かつて独房監禁が問題となった生活調査室は消え、調査室の出入り口も透明になった。すべての脱北者を対象として、調査過程に問題がなかったかどうかを把握するため、弁護士協会と女性弁護士会が推薦する人権保護官が調査の前後に面談を行う。未成年には「信頼関係人同席制度」が導入されている。保護センターによると、この2つの制度は昨年導入されたもの。

 主な調査内容は脱北者が確認して署名しなければならず、録音・録画調査は当事者が同意した場合にのみ可能だ。これらの措置は、国情院による捏造捜査で緊急逮捕されたユ・ウソンさんと、取り調べの過程で強圧や暴行を受けて虚偽の自白をした妹のユ・ガリョさんの事件を契機として導入された。2014年に国情院は、中央合同尋問センター(合尋センター、2008年に開所)の名を北朝鮮離脱住民保護センターに変えるとともに、一部の施設と調査過程を改善した。パク院長は「2014年から今年までに保護センターで調査を受けた7600人あまりのうち、人権侵害を受けたとの主張などを含め、人権侵害が確認された事例は1件もなかった」と強調した。

 ユ・ウソンさんスパイ捏造事件後、同センターはスパイ捜査は行わず、定着支援金などを狙って脱北者を装って入国する「非北朝鮮離脱住民」を選り分けるための行政調査のみを行っている。国情院によると、2008年以降、この調査過程で摘発された非北朝鮮離脱住民は180人あまりで、保護センターで摘発され、裁判所で有罪判決を受けた脱北偽装スパイは11人だという。ユ・ウソンさん事件は、国情院と検察が証拠を捏造していたことが明らかとなり、2015年に最高裁でユさんの無罪が確定している。

 調査室と分離されている生活室は1人部屋、2人部屋、4人部屋、6人部屋があるが、1人部屋は本人が希望する場合に割り当てられる。各部屋にはトイレ、テレビ、机、冷蔵庫などが備え付けてある。相対的に調査期間が長い高位の脱北者や、偽装脱北の疑われる人に提供される特別生活室には、一般の生活室にはないベッド、ソファー、ソファーテーブル、食卓と電子レンジ、洗濯機もある。生活調査室に設置されていた監視カメラ(CCTV)は撤去された。

 入所者には生活必需品、生活服などの基本的に必要な物品が45~52点提供され、退所時に男性はスーツ1着、女性は希望するデザインの外出着が提供される。保護センターの説明によると、脱北者はここで基礎的なコンピューター、言語、楽器などの教育が受けられる。食事は保護センターの職員と同じものが提供され、産婦人科、家庭医学科、歯科からなる医務室には10人あまりの医療陣が勤務し、脱北者の健康を管理する。

京畿道始興市の北朝鮮離脱住民保護センター内にある特別生活室の様子。生活空間の隣にはリビングがあり、テレビを見たりお茶を飲んだりできる=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社
京畿道始興市の北朝鮮離脱住民保護センター内にある生活用品支援室の様子=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社
京畿道始興市の北朝鮮離脱住民保護センター内にある医務室の様子=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社
京畿道始興市の北朝鮮離脱住民保護センターの音楽室の様子=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社
京畿道始興市の北朝鮮離脱住民保護センター内にある子どもの遊び部屋の様子=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1000652.html韓国語原文入力:2021-06-23 20:01
訳D.K

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