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ハーバード大教授の「慰安婦」論文、日本の学界と市民団体も「歴史歪曲」と批判

登録:2021-02-27 03:37 修正:2021-02-27 08:50
日本軍慰安婦被害者のことを「売春婦」だとする主張を展開して批判を浴びている米国ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授=ハーバード大学資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」のことを売春婦と規定したハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授の論文について、日本の学界と市民団体も歴史を歪曲しているとして批判に立ち上がった。また韓国、中国に続いてフィリピンの「慰安婦」被害者たちも、自分たちを侮辱するものだとして憤りを表明した。

 市民団体の運営する日本軍「慰安婦」学術ウェブサイト「Fight for Justice(ファイト・フォー・ジャスティス)」は、日本史研究会、歴史学研究会、歴史科学協議会などの学術団体とともに、来月14日にラムザイヤー教授の論文を批判するオンラインセミナーを開催することを26日に明らかにした。

 これらの団体は報道資料を発表し「『慰安婦は自発的な売春婦』…これらは、1990年代後半から日本の歴史修正主義者たちによって繰り返し主張され、ことごとく歴史研究者たちによって論破されてきた言説」と述べ、ラムザイヤー教授もこの延長線にあると指摘した。同サイトは「慰安婦」問題の専門家たちが集い、学術的な観点からラムザイヤー教授の論文にいかなる問題があるのか検討するため、オンラインセミナーを開催することを明らかにした。

 同セミナーでは、日本国内の「慰安婦」研究の第一人者に数えられる吉見義明中央大学名誉教授が、ラムザイヤー教授の論文の問題点を指摘する予定だ。吉見教授は1992年に「慰安婦」制度の立ち上げに軍と政府が深く関与していたことを示す文書を初めて発見した人物だ。その後、日本政府が「慰安婦」動員の強制性を認めた「河野談話」(1993年)を発表する際にも影響を与えた。吉見教授だけでなく、歴史学者であり、先日ラムザイヤー教授の論文に対する反論を発表したシンガポール国立大学の茶谷さやか教授も発表を行う。

 アジアの他の国の「慰安婦」被害当事者たちも声をあげている。フィリピンの被害者団体「リラ・フィリピーナ」は25日(現地時間)、フェイスブックに上げた声明で「我々は『慰安婦』を有給の性労働者として描写したラムザイヤー教授の論文に込められた主張に反対する」と述べた。同団体は「(ラムザイヤー教授の論文の)ほとんどは韓国人被害者たちについて言及したものだが、その論文は最もおぞましい形の軍事暴力を経験したフィリピン国内の日本による戦争犯罪の被害者たちをも侮辱したもの」と批判した。

 米国学界でのラムザイヤー論文撤回を求める圧力も強まっている。米ノースウェスタン大のエイミー・スタンレー教授ら5人の日本史研究者は26日(現地時間)、ラムザイヤー教授の論文が掲載される予定の「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス(IRLE)」に2回目の公開書簡を送り、論文が撤回されない理由を問うた。この学術誌を発行するオランダの出版社「エルゼビア」は、「懸念表明」の文章と反論を同時掲載するかたちで、ラムザイヤー教授の論文を3月号にそのまま載せる方針だ。

 米州韓人会総連合会などの韓人団体は24日、ハーバード大学の総長とハーバード大学法学部長に書簡を送り、ラムザイヤー教授の懲戒を求めた。これらの団体は書簡で「『慰安婦』を売春婦として描いたことは、これまでの学問的成果を否定するもの」だとし、「危険で道徳的に非難されるべき嘘を有害に伝播したラムザイヤー教授を迅速に懲戒すること」を求めた。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/984670.html韓国語原文入力:2021-02-26 14:33
訳D.K

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