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「最悪な学問的真実性違反」ハーバード大歴史学教授ら、"慰安婦=売春婦”論文を酷評

登録:2021-02-19 08:07 修正:2021-02-20 08:21
ハーバード・ロースクールのジョン・マーク・ラムザイヤー教授//ハンギョレ新聞社

 日本軍慰安婦被害者を「売春婦」と主張した米ハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授の論文について、同大学の歴史専攻の教授らが学問的真実性が欠如していると批判した。

 17日(現地時間)、ハーバード大学東アジア言語文化学科のカーター・エッカート教授と歴史学科のアンドルー・ゴードン教授が声明を出し、学術誌「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス(International Review of Law and Economics)」3月号に掲載される予定のラムザイヤー教授の論文「太平洋戦争における性サービス契約」がまともな根拠文献の引用もなく作成されていると指摘した。エッカート教授は韓国史、ゴードン教授は日本近代史が主専攻だ。

 両教授は声明で、同学術誌の編集者の要請でラムザイヤー教授の論文を検討したと述べ、「我々はまず、慰安婦システムに内包され実行された植民主義ジェンダーの大きな政治的・経済的脈絡をラムザイヤー教授が省略したことに衝撃を受けた」とした。続いて「しかし我々は(ラムザイヤー教授の)論文において、(論文で使用された)証拠と論理を調べながら、論文の学問的真実性の問題にまず直面した」と書いた。

 両教授はラムザイヤー論文の引用を追跡してみたところ「ラムザイヤー教授が朝鮮人慰安婦や家族、または募集業者の実際の契約を1件も見つけられなかったと判断することができた」とした。また「さらには、日本政府や軍が指針として下した見本の契約書も見つけられなかったと判断された」と批判した。彼らはラムザイヤー教授が引用した1938年の日本内務省の文書があるが、同文書は中国・上海にある慰安所が雇った日本女性用の契約書の見本だったと指摘した。朝鮮人対象の契約書ではなかったということだ。「我々はラムザイヤー教授がいかにして読んでもいない(朝鮮人対象の)契約に対しそのように強い表現を使って主張できるのか分からない」と指摘した。

 両教授はラムザイヤー教授が彼の主張の核心に当たる「朝鮮人女性の契約に関する第3者の証言または文書化された記録の提示も事実上していない」と批判した。唯一日本語に翻訳された慰安所の勤務者の日記に関する本が引用されていたが、これも選択的に引用されたと指摘した。歴史的事実と矛盾する記述もあると指摘した。両教授はラムザイヤー教授が「ビルマ(現在のミャンマー)の朝鮮人慰安婦は6カ月から1年の短い契約を交わして働いた」と主張したが、引用を見ると1937年に作成されたという日本語で書かれた契約書の見本だったとし、1937年は日本軍がミャンマーで戦闘を行う数年前だと指摘した。

 両教授は朝鮮人女性対象の契約に関する証拠や関連文献の提示がきちんとなされていない点を指摘し、「最悪な学問的真実性の違反だ」と批判した。

 両教授は「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」に、ラムザイヤー教授の論文の掲載を保留して調査を行い、結果によっては撤回するよう求めたと明らかにした。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/983613.html韓国語原文入力:2021-02-18 23:47
訳C.M

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