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ポンペオ長官の訪韓もキャンセル…米大統領選前の朝米関係の進展は困難に

登録:2020-10-04 21:35 修正:2020-10-05 11:28
ドナルド・トランプ米大統領が3日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症で入院中のメリーランド州・ベセスダにあるウォルター・リード米軍医療センターの大統領専用病室で執務を行っている=ホワイトハウス提供/聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染が、今後の朝米関係と朝鮮半島情勢に及ぼす影響に関心が集まっている。今月7日に予定されていたマイク・ポンペオ米国務長官の訪韓がトランプ大統領の感染確定の影響で突然キャンセルになった。ポンペオ長官の今回の訪韓は、朝米対話再開の糸口になるという期待が大きかっただけに、朝米のさらなる関係進展がない状態で米国は来月3日に大統領選挙を迎えることになった。

 米国務省は3日(現地時間)、「ポンペオ長官のアジア訪問に関するアップデート」と題する報道資料を発表し、「ポンペオ長官は4~6日に東京を訪問する。東京で予定されたクアッド(Quad)外相会議はインド太平洋地域の懸案に焦点を合わせる」と明らかにした。この発表が出た直後、韓国外交部も報道資料を発表し「韓国政府はやむを得ない事情でポンペオ長官の訪韓が延期されたことを残念に思う。これについて米国側から事前に説明を受けた」と明らかにした。外交筋は、ポンペオ長官は2日にトランプ大統領がCOVID-19に感染して入院するという非常事態が発生した後、アジア訪問計画を修正し、3日昼に外交チャンネルを通じて韓国政府にこの事実を伝え了解を求めたと明らかにした。米国務省は2日までも、デビッド・スティルウェル東アジア太平洋担当次官補がポンペオ長官の東アジア歴訪と関連したオンライン説明会を開催するなど、スケジュールを強行しようとする雰囲気だったが、結局計画を修正せざるを得なかった。当初の計画通りなら、ポンペオ長官は4~6日に東京、7日にモンゴル・ウランバートルを訪問した後、7~8日にソウルを訪れる予定だった。

 ポンペオ長官の訪韓日程がトランプ大統領のCOVID-19感染という「突発要因」で中断され、韓国政府がこれまで推進してきた朝米対話再開の努力も大きな壁に突き当たることになった。政府は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9月23日の国連総会の基調演説で話題を投げかけた終戦宣言問題を機に、朝米間の対話の扉を開こうと刻苦の努力を傾けてきた。その後、外交部のイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長は先月28日、米国でスティーブン・ビーガン米国務副長官と会った後、記者団と会い、朝鮮半島の非核化と平和構築に関する「創意的なアイデア」を議論したとし、「北朝鮮の参加」を呼び掛けた。

 北朝鮮は最近、南北間で好意的な親書を取り交わしたのに続き、2日にはこの2カ月間公式な席上に姿を見せなかった「対米・対南接触窓口」であるキム・ヨジョン党第1副部長を、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が水害復旧現場を訪問する際に同行させた。そして翌日の3日には、金委員長がトランプ大統領に送る「慰問全文」を朝鮮中央通信を通じて公開するなど、韓米の対話再開の動きに応えようとする様子を見せていた。

 米国務省はこの日、「ポンペオ長官は10月に再びアジアを訪問することを予想しており、その日程を再び決めるために作業する」と付け加えたが、目前に迫った大統領選挙日程を考慮すると、実現するかは不透明だ。この場合、米国に新政府が発足する2021年1月末まで、朝米関係は現在の膠着状態にとどまるものとみられる。

 さらに大きな問題はその後だ。現在もわずかな優位を占めているジョー・バイデン民主党候補が、トランプ大統領のCOVID-19感染を契機に「決定的勝機」をつかんだ場合、次期米政権の対北朝鮮戦略はトランプ大統領が推進してきた現在の「トップダウン方式」の対話路線から根本的な再調整が行われるだろう。これに対し、北朝鮮が神経質な反応を示し挑発に出た場合、朝鮮半島情勢は2017年のような「視界ゼロ」の局面に再突入する可能性もある。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、キル・ユンニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/964364.html韓国語原文入力:2020-10-04 20:30
訳C.M

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