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ただでさえ南北関係が冷ややかなのに…ボルトン回顧録の波紋広がる

登録:2020-06-23 06:39 修正:2020-06-23 08:04
文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長、ドナルド・トランプ米大統領が昨年6月30日午後、板門店韓国側地域の自由の家で会合した後、一緒に軍事境界線へ移動している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 ジョン・ボルトン前ホワイトハウス国家安保補佐官が自身の回顧録で、朝鮮半島の平和に向けた韓国政府の努力を皮肉り、貶したことをめぐり、大統領府が「基本的道理もわきまえない不適切な行動」だと強く批判した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と韓国政府に対するジョン・ボルトン前補佐官の記述が、懸案に対する観点の違いを示すレベルを超え、事実に対する深刻な歪曲を含んでいると判断したためだ。

 大統領府のユン・ドハン国民疎通首席は22日の定例会見で、「(ボルトン氏が回顧録で)朝鮮半島の平和と南北関係の発展に対する韓米首脳間の率直で建設的な協議内容を自分の偏見と先入観をもとに歪曲したのは、基本的道理もわきまえない不適切な行為だ」と批判した。ボルトン氏は回顧録『それが起きた部屋』で、昨年6月30日、板門店(パンムンジョム)での南北米首脳会合当日、数回にわたって米国が乗り気ではないことを示したにもかかわらず、文大統領が同行すると意地を張り、これを貫いたと書いた。文大統領の北朝鮮非核化構想をめぐっては、「統合失調症患者のような(Schizophrenic)考えだ」と皮肉った。大統領府関係者は「(ボルトン)本人がそうかもしれない」と反論した。

 過去、彼のカウンターパートだったチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長も強い遺憾の意を表した。チョン室長はユン・ドハン首席が伝えた立場文で、「かなりの部分で、事実を大きく歪曲している」とし、「政府間の相互信頼に基づいて協議した内容を一方的に公開することは、外交の基本原則に反するもので、今後の交渉の信義を非常に深刻に損ねる恐れがある」と指摘した。チョン室長は「このような不適切な行為は、韓米同盟関係で共同の戦略を維持・発展させ、両国の安保利益を強化する努力を深刻に阻害しかねない」と述べ、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)に「適切な措置」を要求した。

 大統領府国政状況室長を務め、板門店での南北首脳会議の実務を総括したユン・ゴニョン議員もフェイスブックにボルトン氏の行動に対する批判を載せた。彼は「ボルトン氏の主張は、事実関係に合致しない部分があまりにも多い。自分が知っていることがすべてだと信じる錯覚と傲慢から抜け出してほしい」と指摘した。大統領府と与党のこうした対応をめぐり、複数の大統領府関係者は「歪曲と主観的な解釈が入り混じった不正確な記憶が既成事実化すれば、不要な論争が起き、外交懸案にも影響を及ぼす可能性があるため、この際断固とした立場を示す必要があった」と語った。

 専門家らは、ハノイでの第2回朝米首脳会談を決裂させたホワイトハウス参謀たちの“思惑”が露呈したとしながらも、波紋は限定的だと見ている。ボルトン元補佐官をよく知るある米国専門家は、「ボルトン氏が朝米関係改善を阻止するために狂気に近い執着を示した事実が明らかになった。ハノイ首脳会談がなぜ失敗したのかをよく表している」と述べた。北韓大学院大学のキム・ジョン教授は「南北関係に及ぼす影響はほとんどないと思われる」としながらも、「ただ、国内の保守勢力が(ボルトン氏の回顧録を根拠に)南北、朝米関係改善に向けた韓国政府の努力を持続的に攻撃すれば、政府の政策動力が失われる恐れもある」と懸念を示した。

ソン・ヨンチョル、ノ・ジウォン、ファン・クムビ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/950485.html韓国語原文入力:2020-06-2 02:41
訳H.J

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