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FDA、トランプが服用自慢の「ヒドロキシクロロキン」使用許可取り消し

登録:2020-06-17 02:10 修正:2020-06-17 06:48
米食品医薬品局(FDA)ホームページより//ハンギョレ新聞社

 米国の食品医薬局(FDA)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療用としてマラリア治療薬「ヒドロキシクロロキン」を使えるようにした緊急使用許可を撤回した。ドナルド・トランプ米大統領がCOVID-19の予防用として擁護していた薬品について、米政府が「不適合」判断を下したのだ。

 AP通信などの報道によると、15日(現地時間)、FDAは臨床試験で得られた新たな証拠から、マラリア治療薬のクロロキンと類似薬品のヒドロキシクロロキンがCOVID-19の治療に効果があると信じるのは、もはや妥当ではないと明らかにした。FDAは今年3月、COVID-19の症状のある患者に緊急使用することを許可していた。

 FDAは心臓合併症の報告を例に挙げ、ヒドロキシクロロキンがCOVID-19の患者に治療効果よりも大きな危険を与えかねないと指摘した。この薬品が心臓の拍動異常、低血圧、筋肉や神経系の損傷などの副作用を引き起こしうるというのだ。

 今回の措置により、米連邦政府は、同薬を州や地方の保健当局にこれ以上配布しないことになった。ただし、一般の医療陣はCOVID-19患者に同薬を処方できるとAP通信は伝えた。

 トランプ大統領がこの薬を絶賛した以降、この薬の効果をめぐっては議論が続いてきた。トランプ大統領は今年3月、同薬について「神の贈り物になり得る」と述べ、先月にはCOVID-19予防のためにこの薬を2週間服用したと発表した。

 しかし、ヒドロキシクロロキンの治療や予防の効果は不透明で、果ては死亡リスクを高めるという研究結果が続々と出された。BBCの報道によると、英オックスフォード大学が患者1万1000人を観察した結果、ヒドロキシクロロキンを服用した患者の25.7%が28日後に死亡した一方、服用せずに標準治療を受けた患者の死亡率は23.5%だった。米報勲病院に入院して退院または死亡した患者たちの医学記録を分析した米サウスカロライナ大学の研究チームも、ヒドロキシクロロキンを投与した患者群の死亡率は、投与していない患者群の2倍を超えたという研究結果を発表している。

 トランプ大統領はこの日、FDAの発表に反論した。トランプ大統領は「私は薬を飲み、よいと感じた。その薬が影響したかはわからないが、私に害を与えなかったのは確かだ」と述べたと、ロイター通信は報じた。トランプ大統領はまた、フランス、スペインなどの他地域で「素晴らしい報告」があったと主張したが、フランスは先月末にCOVID-19患者への同薬の処方を中止している。

 トランプ大統領とともにヒドロキシクロロキンに好意的なブラジルはこの日、同薬の使用を拡大すると発表した。ブラジル保健省の関係者らは同日の記者会見で、FDAの決定では保健省の立場は変わらないだろうとし、子供や妊娠した女性もヒドロキシクロロキンの使用対象に含めると述べた。

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/949545.html韓国語原文入力:2020-06-16 11:28
訳D.K

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