安倍晋三首相は、東京五輪(7月24日~8月9日)を予定通りに行いたいと話したが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡散の余波で、国際オリンピック委員会(IOC)が緊急対策会議を開くことにするなど危機が続いている。
スイスのローザンヌに本部があるIOCが、すべての国際競技団体の責任者が参加する緊急テレビ会議を17日(現地時間)に開くことにしたと、NHKやAFP通信が16日に伝えた。選手が五輪の参加資格を得るためには、各種の国際大会で予選を通過したり一定の順位に上がる必要があるが、COVID-19の感染拡散で国際スポーツ競技大会が相次いで取り消されているためだ。今月初め、世界柔道連盟は来月30日までに予定されているすべての東京五輪予選大会を取り消すと発表した。バドミントン、水泳、野球など他の相当数の種目も、国際大会を取り消したり延期した。IOCは、緊急テレビ会議で東京オリンピック組織委員会と世界保健機関(WHO)のCOVID-19関連対応について説明し、取り消された五輪関連国際大会を今後どうするかを議論する予定だ。
5カ月も残っていない東京五輪は、COVID-19の感染拡散ですでに支障を来している。東京五輪の聖火は、12日にギリシャのアテネで点火されたが、ギリシャ国内の聖火リレーは感染の懸念のためにわずか一日で中断された。ギリシャ政府は感染拡散防止のために非公開で聖火リレーを進めたが、スパルタに人々が押し寄せたためだ。19日にアテネで開催都市の東京に聖火を引き渡す儀式も非公開で進行される予定だ。
COVID-19の発生初期にも日本政府は東京五輪を予定通り開催できると断言したが、今は強い心配ムードに変わった。安倍晋三首相は14日の記者会見で「今後もIOCと連携していく。IOCもWHOと連携している。私たちはとにかく感染の拡大を克服して五輪を無事に予定通り開催したい」と話すにとどまった。
日本国内のCOVID-19感染者数は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」搭乗者を含め1500人を突破した。日本が国内での感染拡散を抑制することに成功したとしても、大会を予定通り開催できるかは不透明だ。日本政府が設置した「新型コロナウイルス対策専門家会議」のメンバーである押谷仁・東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授は、最近ハンギョレとのインタビューで「世界的に急速に拡散する状況になり、世界のどこかの地域が五輪に参加できないとなれば、五輪を開催するのは難しいのではないか」と話した。
東京五輪が取り消されれば、日本経済は大きな打撃を避けられない。日本が東京五輪・パラリンピックの開催に使ったり今後使うお金だけでも約3兆円と推定される。日本の大型証券会社の「SMBC日興証券」は最近、東京五輪が取り消されれば、日本の消費沈滞と貿易減少の影響まで合わせれば日本経済の損失額は7兆8000億円に達するとの見通しを出した。東京オリンピック組織委の理事の1人である高橋治之氏が、予定通りの開催が難しければ1~2年延期する方法もあると最近発言したのは、取り消しという最悪の事態だけは避けなければならないという意見が日本国内で広がっている点が作用したと見られる。