日本の国立天文台が軍事に関連する研究を容認する方向への方針転換を検討し、波紋が広がっている。日本の科学界は第2次世界大戦当時、事実上学界が戦争に加担したという反省のために、軍事関連研究に対して伝統的に拒否感があったが、国立天文台が事実上初めて方針を変えれば、科学界全般に影響が及ぶものとみられる。
東京新聞は10日、国立天文台が7月に開かれた教授会議で、防衛省が運営する「安全保障技術研究推進制度」への研究応募を許容する方向の天文台規則改正案を提出したと報道した。東京大学の天文台と名古屋大学の研究所などが合併して1988年に誕生した日本の国立天文台は、日本の天文学研究の中枢機関だ。
国立天文台は3年前の2016年、「安全保障技術研究推進制度またはこれに類する制度には(研究を)応募しない」と決定した。ところが、今回「研究成果を自由に公開できるという条件を満たすものであれば応募できる」という趣旨に方針転換を検討する。
日本の防衛省の「安全保障技術研究推進制度」は2015年、防衛装備と兵器開発につながり得る研究を進めるために始まった。当初予算は3億円だったが、今年の予算は101億円と34倍ほど増えた。
政府が支援する基礎科学研究費が年々削減される状況で、これと反対に年々予算が増えている防衛省研究費支援制度は誘惑が大きい。これに関して2017年、日本の科学者で構成された「日本学術会議」は「戦争目的の研究は絶対にしない」という既存の方針を再確認しながら、安全保障技術研究推進制度を通じて政府の研究への介入が強まっているという憂慮を表明した声明を出した。ノーベル賞受賞者を数人輩出した京都大学は昨年「軍事研究は行わない」と宣言した。
東京新聞は、国立天文台でも規則改正案を提出した7月の教授会議参加者のうち「悪魔に魂を売るのか」と強く批判する声が出たと報じた。同誌の報道によると、日本政府が国立大学全体に支給する運営交付金は、2004年の1兆2415億円から今年は1兆971億円と約1400億円減った状態で、外部の研究費支援プロジェクトを獲得しなければならない状況に次第に追い込まれているという。また、若手研究者たちは、防衛省支援事業に抵抗感が少なく、期間制で働くことが多く外部の研究費支援事業にますます関心を寄せるほかない状況になっている。