文在寅(ムン・ジェイン)大統領が6日午後、5泊6日の東南アジア歴訪を終えて帰国した。文大統領は帰国するやいなや、チョ・グク法務部長官候補者の任命をめぐって綿密な検討に入った。
文大統領は同日午後4時50分に城南ソウル空港に到着し、別の行事なしに大統領府に向かった。大統領府に到着してからは、国家危機センターを訪れ、台風13号に備えた状況を点検した。文大統領はノ・ヨンミン秘書室長を含めた首席補佐官たちから同日開かれたチョ・グク候補者の国会人事聴聞会の状況と世論動向の報告を受けたという。大統領府関係者は「文大統領が歴訪のために細かくチェックできなかったチョ候補者聴聞会と検証の状況について報告した」とし、「2日に開かれたチョ候補者の記者懇談会や検察の捜査状況、最近の世論動向などを総合的に報告した」と述べた。文大統領は同日、夜遅くまで開かれた国会人事聴聞会の中継も見たという。
大統領府の内外では、文大統領がチョ候補者を任命すると見ている。大統領府関係者は「文大統領が最終的にいかなる決心をするかは予測し難い」としながらも、「ただし、今日国会人事聴聞会で、チョ候補者が2日の記者会見の時のように、様々な疑惑についてちゃんと釈明したと思う。特に、候補者本人と関連した決定的な欠点が明らかになっていないため、任命するという基調には特に変わりがないようだ」と述べた。別の大統領府関係者も「国会聴聞会でもチョ候補者の違法行為が立証されなかった」とし、「任命する可能性が高い」と見通した。検察改革への意志が強い文大統領が、多くの負担にもかかわらず、適任者として指名したチョ氏に対する信任を撤回するほど、決定的な欠点が見つからなかったと判断しているわけだ。
文大統領がチョ候補者を任命するのは8日になる可能性が高い。大統領府関係者は「文大統領が国会に6日までにチョ候補者の人事聴聞経過報告書を送ってほしいと期限を定めたが、7日の丸一日は与野党が報告書の採択を論議する時間を与えると見られる」とし、「国会聴聞会が開かれなければ、7日に任命するかどうかを決めただろうが、今は8日が有力視されている」と述べた。別の大統領府関係者は「文大統領が一日くらいは聴聞会後の世論の流れと検察捜査を見守るだろう」とし、「さらに、7日は台風13号に備えなければならない事情もある」と伝えた。
文大統領が事前に心を決めていない可能性もある。チョ候補者に対する批判的な世論が依然として根強いうえ、検察の捜査が類を見ないほど全面的に行われているのも、最後まで文大統領を悩ませる要素だ。文大統領がチョ候補者を任命した直後、検察がチョ候補者の親戚を強制召喚あるいは起訴した場合、今後の裁判結果とは関係なく、チョ候補者の業務に支障をきたすのは避けられないからだ。チョ候補者を任命した場合、法務部長官とユン・ソギョル検察総長の“不都合な同居”も悩みの種になり得る。
各種世論調査でも、チョ候補者の任命に賛成する世論は50%を下回っている。チョ候補者の任命を押し通した場合、予想される自由韓国党を含む保守野党の激しい反発と対立も、文大統領の頭を悩ませている。ナ・ギョンウォン自由韓国党院内代表は同日、「(文大統領が)チョ候補者を法務部長官に任命すれば、民乱がおきるだろう。その民乱に韓国党も参加する」と述べた。これまで長官候補者の任命で「キャスティングボート」の役割を果たしてきた正義党の判断も影響を及ぼす要因になり得る。