韓国最高裁判所(大法院)が朴槿恵(パク・クネ)前大統領の国政壟断の控訴審を破棄し、ソウル高等裁判所に差し戻した。一・二審裁判所が賄賂と賄賂以外の疑いを“分離宣告”しなければならない原則を破ったため、再び判決する必要があると見たのだ。容疑別に判決を言い渡せば、量刑が重くなる可能性がある。ただし、朴前大統領は「国家情報院の特別活動費事件」など他の事件を含め、すでに30年以上の刑を言い渡されたため、量刑に大きな変化はないものと見られる。
最高裁全員合議体(裁判長キム・ミョンス最高裁長官、主審ノ・ジョンヒ最高裁判事)は29日、朴前大統領の国政壟断事件上告審で、懲役25年に罰金200億ウォン(約17億5円万円)を言い渡した原審の判決を覆し、事件をソウル高裁に差し戻した。最高裁は、朴前大統領の一・二審裁判所が他の犯罪の疑いと区別して別々に宣告しなければならない収賄容疑を分離せず、法を違反したと判断した。公職選挙法第18条第3号3項によると、大統領など公務員が在任当時、職務と関連して特定犯罪加重処罰法の賄賂罪(加重処罰)・第3者供賄・斡旋収賄・斡旋収財などの容疑で起訴された場合は、他の容疑と分離して判決するように定めている。公職者の賄賂罪は、その結果によって被告人が選挙権や被選挙権などが制限を受ける可能性があるため、別途に判決するようにしたのだ。
昨年8月、二審裁判所は朴前大統領に適用された収賄容疑とともに職権乱用による権利行使妨害、強要、強要未遂、公務上秘密漏洩の疑いのうち、かなりの部分を有罪と認め、合わせて懲役25年を宣告したが、これは公職選挙法規定に反するというのが最高裁の判断だ。
朴前大統領の事件を差し戻されたソウル高裁は、賄賂罪と職権乱用、公務上の秘密漏洩などに対して別途の量刑を決めて判決しなければならない。
法曹界では、分離判決の影響は大きくないと見ている。通常、容疑を分離して宣告すれば量刑が重くなる場合が多いが、同日の最高裁の判決で朴前大統領の量刑が微妙に低くなる要因も生じたためだ。同日、最高裁はチェ・スンシル氏事件の上告審で、朴前大統領と共謀して大企業から財団への支援などを要求した容疑(強要)は無罪と判断した。最高裁関係者は「共犯のチェ氏に対する無罪判決の趣旨に基づき、朴前大統領の破棄差戻し審でも強要罪部分が無罪と判断される可能性がある」と述べた。法定刑が最大で懲役5年に及ぶ強要罪が除外されれば、刑量がやや軽くなることもあり得るというわけだ。
しかし、ある弁護士は「朴前大統領にすでに宣告されたのが30年を超えており、(量刑に)大きな影響があるとは思わない」とし、「最高裁が分離判決を指摘しただけで、関連犯罪に対する有罪や無罪の判断を指摘した部分がないため、残りの部分は(二審が)朴前大統領に対する最終判断と見てもいい」と指摘した。
最高裁は二審で、朴前大統領に無罪が宣告された部分も最終確定した。サムスンがミル・Kスポーツ財団に支援した204億ウォン(約18億円)は賄賂ではないと判断したのだ。また、朴前大統領がポスコにスポーツ団を設立し、チェ・スンシル氏の会社「ザ・ブルーK」とマネージメント契約を結ぶよう指示した容疑も無罪を確定した。昨年8月2審裁判所は「朴前大統領とチェ氏の意図とは異なり、実際にはポスコグループ傘下にスポーツ団が創設されておらず、ザ・ブルーKとの契約も締結されなかった」とし、犯行が未遂に終わったと判断した。
朴前大統領は今回の国政壟断事件の他にも、「候補者公認への介入」や「国情院長特別活動費賄賂」事件でも起訴された。2016年の第20代国会議員選挙当時、与党のセヌリ党の公認過程に介入した疑いで起訴された事件では、懲役2年の刑が確定されており、国家情報院長から国情院特殊活動費数十億ウォンを受け取った事件は、控訴審で懲役5年を言い渡され、最高裁の最終判断を待っている。これまで、朴前大統領が言い渡され刑は合わせて懲役32年だ。