ドナルド・トランプ米大統領が13日(現地時間)、「3回目の朝米首脳会談は良いものになるだろう」とし、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が前日に行った施政方針演説に対し、前向きな反応を示した。両国首脳が互いに個人的な信頼と対話の必要性を示すことで、“トップダウン”の枠組みを誇示したのだ。しかし、非核化をめぐる見解の隔たりが依然として大きく、実際に会談が開かれるまでは、かなりの調整を要するものと見られる。
トランプ大統領は同日、ツイッターに書き込みを掲載し、「私は、北朝鮮の金正恩委員長が、我々の個人的関係は依然として良好であるとしたことに同意する。おそらく素晴らしい(excellent)という言葉のほうがより正確だろう」と述べた。さらに、「我々が互いの立場を十分に理解しているだけに、3回目の首脳会談は良いものになるだろうということにも同意する」と明らかにした。
トランプ大統領は「北朝鮮は金委員長の指導力のもと、素晴らしい成長や経済的成功、富に対する大きな潜在力を持っている。そう遠くないかもしれない、核兵器と制裁が除去される日を待ち望んでいる。北朝鮮が世界で最も成功した国家の一つになる日を楽しみにしている」と述べた。
トランプ大統領のメッセージは、金委員長の施政方針演説の内容が伝わってから約15時間後に送られた。2月末の第2回朝米首脳会談が物別れに終わってから、金委員長が初めて発表した肉声のメッセージに、トランプ大統領が直ちに前向きな反応を示したことで、両首脳がけん引してきたトップダウン方式が健在であることを誇示した。トランプ大統領は11日にホワイトハウスで行われた韓米首脳会談で、文在寅大統領に表明した対話基調を同日のツイッターでも再確認した。彼は当時、「第3回朝米首脳会談は起こり得る」と述べた。朝米首脳が繰り返し友好的関係を強調し、“対話の扉”を開いたのだ。これは今後、南北首脳会談などを経て朝米交渉が再開される土台になるものとみられる。
しかし、非核化と制裁解除をめぐる朝米の隔たりは、ハノイ首脳会談後よりも大きく明確になっており、朝米対話にどれほど速度があがるか不透明だ。トランプ大統領は同日のツイッターで、「核兵器と制裁が除去される日」に触れた。北朝鮮が完全に核を放棄してこそ、制裁も解除できるという、一括妥結式の“ビッグ・ディール”の立場を繰り返し表明したものとみられる。これは、非核化と相応の措置を段階的・同時的に進めていこうという北朝鮮の立場とは異なるものだ。
これに比べて、金委員長は施政方針演説で、「今年末」と「米国が正しい姿勢で臨み、私たちと共有できる方法論を持つこと」を、第3回朝米首脳会談の“期限”と“条件”として掲げた。また「前回(ハノイ首脳会談)のように、良い機会を再び得ることはおそらく難しいだろう」とし、「寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄」が現在打ち出せる最大値であることを強調した。
米国のメディアは、金委員長が施政方針演説で、米国との対話の条件として「共有できる方法論」を掲げたとし、(朝米交渉に)懐疑的な見解を示した。ワシントン・ポスト紙は、金委員長が演説で、朝米交渉を進展させる新たな譲歩やアイデアを示唆しなかったとし、「米国側にボールを渡した」と指摘した。