金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は「南朝鮮当局と手を握り、平和で共同繁栄する新しい民族史を書いていくことは私の確固不動たる決心ということを今一度明確にしておく」と明らかにした。金委員長は12日、最高人民会議14期1次会議の2日目の施政演説で「わが党と共和国政府は、南北関係の持続的発展と国の平和統一を実現するために、真剣で忍耐をもって努力を傾けていくだろう」と明らかにしたと労働新聞が13日報道した。
金委員長は「米国は南朝鮮当局に『速度調節』を強要し、南北合意の履行を対朝鮮制裁圧迫政策に服従させようと策動している」と指摘した。さらに「造成されたかんばしくない事態の収拾」の必要性を提起し、「外勢依存政策に終止符を打ち、全てを南北関係改善に服従させなければならない」と主張した。
これと関連して金委員長は、事実上文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「米国に対する自主性」を高め、4・27板門店宣言と9・19平壌共同宣言の実質的な履行に乗り出さなければならないと促した。まず「南朝鮮当局は差し出がましい『仲裁者』 『促進者』の振舞いをするのでなく、民族の利益を擁護する当事者にならなければならない」と主張した。続けて「私たちの立場と意志に共感し歩調を合わせるべきで、言葉ではなく実践的行動でその真心を見せる勇断を下さなければならない」と注文した。
ここには二つの含意がある。まず、南側が国連・米国の高強度制裁のせいで3大経済協力(開城(ケソン)工業団地、金剛山(クムガンサン)観光、鉄道・道路連結)事業を含む交流協力に速度を上げられずにいる状況に不満を表わし、「実質的行動」を求めたのだ。次に、文大統領が米国の強硬な対北朝鮮アプローチを変えることに今まで以上に積極的に乗り出して欲しいという要請を“北朝鮮式語法”で強く表現したわけだ。
金委員長は北側の内部に向けても「いかなる難関と障害が横たわっていようとも、南北宣言を変わることなく守り、徹底的に履行する立場と姿勢を確立しなければならない」という“指針”を出した。
金委員長は「南北関係の進展と平和繁栄の結実」を阻む障害物として、2点を指摘した。第一に「米国の時代錯誤的傲慢と敵対視政策」の「根源的清算」を主張した。続けて「南朝鮮軍部の好戦勢力の無分別な策動」を非難した。
韓国の元高位関係者は14日、「金委員長が南北関係の状況を評価して、彼らなりの主張をしたものであり、南側に『こうしなければならない』と(具体的な)条件を掲げたものではない」と指摘した。さらに「ただし、大規模な韓米軍事演習の中断以後、南側単独の小規模軍事訓練に金委員長が直接不満を表わしたようで、調整が必要なようだ」と話した。