本文に移動

DVは現行犯逮捕…ボールは国会へと渡った

登録:2018-11-28 06:01 修正:2018-11-28 08:55
10月29日午前、ソウル市鍾路区の世宗文化会館の階段で開かれた「国のDVへの対応強化を糾弾する記者会見」の出席者たちが、DVに対する強力な対応を求めるプラカードを掲げている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 今後、ドメスティックバイオレンス(DV)の加害者を「現行犯」として逮捕できるようになる。加害者が被害者に対する接近禁止命令を守らない場合、今のように過料だけを科されるのではなく、最大懲役刑まで刑事処罰を受ける。

 女性家族部・法務部は27日、こうした内容の「DV防止対策」を発表し、立法を進める。政府が「第2の江西区(カンソグ)DV殺人事件」を防ぐための具体的な対策をまとめたのだ。今回の対策で国会法制司法委員会に係属中の「DV犯罪の処罰などに関する特例法」改正案の成立にも弾みがつく見通しだ。

 同日の対策の柱は加害者に対する厳正な対処と処罰だ。これまで警察は、DVの現場に出動しても、加害者と被害者を分離したり、暴力行為を制止するのに止まっただけで、加害者を逮捕することはできなかった。しかし、政府は今後、凶器を使用したり常習的な家庭内暴力を働く加害者は、原則的に逮捕状を請求すると明らかにした。子どもと会う過程で起こるかもしれない2次犯罪を防ぐため、加害者の子どもとの面接交渉権を制限する。警察の職権で決定する緊急臨時措置には、加害者を留置場に入れることができる案を追加した。

 被害者に対する裁判所の「接近禁止命令」は被害者の居住地や職場など“場所”が基準ではなく、被害者や家庭構成員など“人”を基準に変更する。実質的な保護のための処置だ。被害者保護の範囲も広げた。家庭内暴力のタイプに「住居侵入・退去不応」と「違法撮影・流布」を追加し、女性緊急電話「1366センター」の利用者にも住民登録票の閲覧と謄抄本交付の制限を申請できるようにした。分離措置の後も、加害者が再び被害者の居住地を見つけ出すことを防止するため、個人情報保護措置を強化した。

 政府が被害者の自立も支援する。被害者たちが経済的理由でDVから抜け出せない状況を防ぐためだ。被害者の特性を反映した専門自立プログラムが、来年から3~4地域で試験的に運営される。DV被害者保護施設から退所する人には、1人当たり500万ウォン(約50万円)前後の自立支援金を支給し、結婚移住女性を支援するための「暴力被害移住女性専門相談所」を5カ所を新設する。政府は、もはやDVが“家庭の問題”ではなく“明白な犯罪”だという認識が社会に根付くよう、認識改善事業にも取り組む計画だ。

 女性団体は加害者の処罰を強化した部分は肯定的に評価したが、「相談条件付き起訴猶予制度」が廃止されなかった点などに対し、懸念を示した。加害者がDV相談所で相談を受ける条件で、検察が起訴猶予処分をする同制度は、加害者に事実上免罪符を与える形で悪用されている。そのため、DVに対する起訴率は8.5%(2016年基準)に止まっている。政府は同日、起訴猶予処理の基準を強化するという案も発表したが、廃止を求める声は高い。」韓国女性の電話」のチョ・ジェヨン人権チーム長は「他の犯罪とは違って、DV犯罪だけにこの制度を設ける理由があるのか、疑問を抱かざるを得ない」と指摘した。

 被害者が反対すれば処罰しないと明示した家庭内暴力(DV)処罰法の「反意思不罰」条項の廃止も対策に含まれなかった。京畿大学のイ・スジョン教授(犯罪心理学)は「DVの特性上、被害者が完全に自由な意思決定を下すのが難しい場合もある。必要ならば、被害者の意思に反してでも刑事処罰できるようにしなければならない」と強調した。

 同対策の実施時期は国会にかかっている。DVへの対応マニュアルの作成や被害者の相談と保護、自立支援などは、行政手続きを通じて直ちに推進できるが、現行犯の逮捕や面接交渉権の制限などは法律を改正しなければ実施できない。現在、国会法制司法委員会には関連内容を盛り込んだ家庭内暴力処罰法改正案18件が発議されているが、2年以上まともに審査されたことがない。女性家族部のキム・ヒョンウォン権益保護課長は「法務部も共感を示しているので、関連法案が迅速に処理されるものとみられる」と述べた。法司委法案審査第1小委委員長を務める共に民主党のソン・ギホン議員は「DVを減らす対策作りが急がれるという国民世論を十分に知っている」とし、「年内に家庭暴力処罰法の改正案を法案審査小委に上程する」と述べた。

パク・ダヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/872079.html韓国語原文入力:2018-11-27 21:31
訳H.J

関連記事