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裁判官らの“勇断”で国会弾劾訴追にも弾みつく…与党「直ちに推進」

登録:2018-11-20 06:39 修正:2018-11-20 07:32
19日午前、京畿道高陽市の司法研修院で開かれた全国裁判官代表会議に出席した判事らが会議の開始を待っている。彼らは同日の会議で「司法行政権の乱用の疑惑に関連した判事らに対する弾劾要求の議決案」など案件を議論する=高陽/ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 全国裁判官代表会議(議長チェ・ギサン・ソウル北部地裁部長判事)が19日、「重大な憲法違反行為」をした司法壟断関係者らに対する弾劾訴追手続きを検討すべきだと議決したことで、国民の視線は弾劾訴追権を持つ議会に集まっている。これまで特別裁判部の設立をめぐる攻防の裏側で、これといった進展が見られなかった国会の弾劾議論にも弾みがつくものとみられる。

 これまで「司法壟断に関連した裁判官に対する弾劾訴追」は、チョン・ジョンベ民主平和党議員(9月12日)とイ・ジョンミ正義党代表(10月1日)、ホン・ヨンピョ共に民主党院内代表(10月23日)らが相次いで主張してきた。一方、検察捜査が進む状況の中、政界が改めて弾劾を推進するのが負担だという意見もあった。

 与党では、同日の裁判官会議の議決で状況が変わったという声が高まっている。自由韓国党の頑強な反対で特別裁判部設置法案の処理が流れたことを受け、裁判官代表らが「司法壟断裁判官の弾劾」を主張しただけに、政界が弾劾を本格的に協議する十分な名分があるということだ。ホン・ヨンピョ共に民主党院内代表は同日、ハンギョレとの電話インタビューで「司法府がこの事案をいかに深刻に受け止めているかを示す決定だ」とし、「弾劾を積極的に検討した我が党としては、必要な時点に必ず行う」と明らかにした。平和党と正義党も裁判官会議の決定を歓迎した。平和党のパク・ジュヒョン首席スポークスマンは「司法府を正しく立て直すための裁判官らの衷情だと思っている。司法壟断にかかわった裁判官らの弾劾は、民主主義の最後の砦である司法府を建て直すために不可避な措置」だと強調した。チョン・ホジン正義党スポークスマンも「国会は一日も早く弾劾訴追案をまとめ、実行に移すべきだ」と促した。

 保守野党では否定的な雰囲気が強い。自由韓国党のユン・ヨンソク首席スポークスマンは「裁判官を弾劾する事由があるのかどうか、法的な判断が下されていない状況だ」とし、「検察の捜査後に考えるべき問題」だと述べた。正しい未来党のオ・シンファン院内首席副代表は「裁判所自ら、他の裁判官らを積弊として規定し、敵味方に分けたことで、司法府も政治化しているという視線を避けられない」と懸念を示した。正しい未来党は20日に議員総会を開き、弾劾訴追に対する党論を決める計画だ。

 保守野党の反対にもかかわらず、弾劾訴追が不可能であるわけではない。憲法は裁判官弾劾訴追の要件として、国会在籍議員の3分の1以上の発議に、過半数の賛成が必要だと定めている。国民が選んだ大統領の弾劾訴追要件(在籍議員過半数の発議と3分の2以上の賛成)より敷居が低い。共に民主党(129席)や平和党(14席)、正義党(5席)が一丸となり、平和党と志をともにする正しい未来党3人組(パク・チュヒョン、イ・サンドン、チャン・ジョンスク)、無所属のムン・ヒサン国会議員とソン・クムジュ、イ・ヨンホ議員などを合わせると、議決に必要な議席数を確保できる。弾劾訴追案は国会常任委員会の審査が必要な一般議案ではないため、発議と同時に国会本会議に付議され、採決することもできる。

 国会で裁判官弾劾訴追が議決されれば、ヨ・サンギュ法制司法委員会委員長(自由韓国党)が検事の役割を果たす弾劾訴追委員になる。彼が弾劾訴追議決書を憲法裁判所に提出すれば、弾劾裁判が始まる。弾劾訴追された裁判官は直ちに裁判業務から排除され、憲法裁判官9人のうち6人以上が「重大な憲法と法律を違反した」と判断した場合は、罷免が決定される。法曹界では、裁判官弾劾の基準が大統領弾劾よりは厳しくないと見ている。弾劾が決まれば、該当裁判官は直ちに罷免され、弁護士法によって5年内は弁護士になれない。

 しかし、これまで政府樹立後、裁判官が弾劾されたことは一件もなく、国会が弾劾訴追案を可決させたこともない。 全斗煥(チョン・ドゥファン)政権時代、不当な裁判官人事を行った故ユ・テフン元最高裁長官と、米国産牛肉輸入反対ろうそくデモ事件の被告人の裁判に不当に介入した疑惑が持たれたシン・ヨンチョル元最高裁判事の弾劾案が国会で発議されたことはあるが、ユ最高裁長官の弾劾案は否決され、シン最高裁判事の弾劾案は国会の会期終了で廃棄された。

 裁判所の内外で取り上げられている裁判官弾劾訴追の対象者はクォン・スンイル最高裁判事(59、司法研修院14期),ソウル高裁のイ・ミンゴル部長判事(57、司法研修院32期)、昌原地裁のパク・サンオン部長判事(41・司法研修院32期)、馬山支院のキム・ミンス部長判事(42・司法研修院32期)などだ。・

キム・ミンギョン、キム・テギュ、チョン・ユギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/870906.html韓国語原文入力:2018-11-19 22:09
訳H.J

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