北朝鮮の儀仗隊、礼砲２１発撃ち「大統領閣下」最高の礼遇
「本当に感無量です。感激で胸が一杯になりました。最高の出迎えを受けました」(文在寅大統領)
「今年5月文在寅(ムン・ジェイン)大統領が我々側の板門店(統一閣)にいらした際、きちんとした出迎えができず、次の機会を待っていました。お粗末かもしれませんが、最大の誠意を尽くした日程ですから、気持ちを受け取っていただければと思います」(北朝鮮の金正恩国務委員長)
18日、南北首脳会談のために平壌(ピョンヤン)に到着した文在寅大統領は、百花園迎賓館まで来て直接宿舎を案内した金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の配慮に、重ねて感謝の意を示した。金委員長は同日、初めて平壌を訪問した文大統領を、可能なかぎり最高レベルの礼遇で迎えた。
丁重かつ破格の歓待は、文大統領が平壌の順安(スナン)国際空港に到着した瞬間から始まった。金委員長と夫人の李雪主（リ・ソルジュ）氏は同日午前10時7分、空港の滑走路に出て、文大統領夫妻を待った。2分後、空軍1号機のドアが開かれ、文大統領夫婦が初めて姿を現した。金委員長を発見した文大統領は明るい笑顔で階段を降り、すぐに彼を抱きしめた。5月26日に開かれた電撃的な板門店南北首脳会談後から115日ぶりの抱擁だった。2000年と2007年、金正日(キム・ジョンイル)総書記は、平壌で会った金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と抱擁ではなく、握手で歓迎の意を示した。文大統領の夫人の金正淑(キム・ジョンスク)氏と李雪主氏も、親しみを込めた笑顔で挨拶を交わした。文大統領は金委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委員会第1副部長を発見するなり、明るい笑顔で挨拶の言葉をかけた。ユン・ヨンチャン大統領府国民疎通秘書官は「金委員長夫妻が空港に出迎えに来たのは初めてで、外国の首脳会談でもなかなか類を見ない歓待」と述べた。
文大統領は、金委員長とあいさつを交わした後、北朝鮮軍の儀仗隊を査閲した。北朝鮮の名誉衛兵隊指揮官のキム・ミョンホ陸軍大佐は「大統領閣下、朝鮮人民軍名誉衛兵隊は閣下を迎えるため、整列しました」と報告した。文大統領は金正恩国務委員長と共に、赤いカーペットの上を歩きながら、あらかじめ整列していた人民軍名誉衛兵隊の「捧げ銃」の敬礼を受けた。査閲を終えた文大統領は、金委員長の案内で査閲壇に上がり、人民軍名誉衛兵隊が行進しながら敬礼する分列式を見守った。人民軍は同日、儀仗行事が行われている間、礼砲21発を発射した。 北朝鮮軍による韓国の首脳に対する儀仗行事においては、「閣下」という呼称も、礼砲の発射も今回が初めてだ。軍当局者は同日、「2000年6月の金大中元大統領訪朝当時や2007年10月の盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が平壌を訪問した際も、国家元首にふさわしい北朝鮮軍による儀仗行事はあったものの、礼砲や南側の大統領に『閣下』という敬称をつけることはなかった」とし、「それだけ礼を尽くして文大統領を迎えるという意味とみられる」と話した。
同日の最高の礼遇は、南北首脳による平壌市内のカーパレードだった。歓迎行事後、午前10時19分にそれぞれの車で空港を出発した両首脳は、平壌都心が始まるヨンモッ館で下車し、一緒に黒いベンツS600のオープンカーに乗り込んで、カーパレードを始めた。予告されていない行事だった。南北首脳がカーパレードを行ったのは初めてだ。盧元大統領が2007年にカーパレードを行ったが、金正日総書記ではなく金永南(キム・ヨンナム)常任委員長が同乗した。2000年には金正日総書記が金大中元大統領と自分の車に同乗して宿泊先に向かった。
両首脳が順安空港-平壌道路-3大革命展示館-永生塔-黎明通り-錦繍山太陽宮殿-百花園迎賓館などのコースを移動する間、平壌の道路沿いは10万人余りの市民で埋め尽くされた。色とりどりの韓服と洋服姿の無数の平壌市民らは、赤い花と統一旗を振りながら、一斉に「祖国」「統一」を連呼した。文大統領はずっと手を振って応えており、金委員長が笑みを浮かべて時折拍手した。カーパレードを終えた二人は歓迎の人出のない黎明通りではシートに座って会話を交わしながら、百花園迎賓館に向かった。事実上「簡易首脳会談」を開いたわけだ。両首脳は空港を出発してから58分後の11時17分頃、百花園迎賓館に到着した。
金委員長は同日午後3時45分から約2時間にわたり、自身の執務室がある労働党中央委員会本部庁舎で、文大統領と首脳会談を行った。本部庁舎は南側首脳には初めて公開した場所だ。
訳H.J