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大漢門前で双龍自動車解雇労働者の焼香所「仲間を生き返らせよ」

登録:2018-07-04 09:28 修正:2018-07-04 10:01
今月3日午前、ソウル中区の大漢門前に設置された双龍自動車解雇労働者のキム・ジュジュンさんの焼香所で市民たちがキムさんを追悼している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 「解雇期間55カ月。国家が起こした損害賠償額14億7000万ウォン。退職金の仮差押え。不動産仮差押え」

 市民団体「手をつないで」の活動家ユン・ジソン氏は、涙をこらえながら4年前に双龍(サンヨン)自動車解雇労働者のキム・ジュジュンさん(48)が送ってきたメッセージを読みあげた。社員番号19936173。23歳で双龍自動車に入社し、自動車を作ることに青春を捧げた彼は、2009年に双龍自動車の整理解雇事態で会社を離れなければならなかった。そして9年あまりの待機に疲れた先月27日、自ら命を絶った。双龍自動車の解雇労働者やその家族らの30番目の死だ。

 民主労総金属労組双龍自動車支部は3日午前11時、ソウル徳寿宮大漢門の前にキムさんの焼香所を設けた。摂氏31度まで上がった強い日差しにも、涙は乾くことがなかった。焼香所を設置し記者会見に出たキム・ジョンウク双龍自動車支部事務局長は「夜通し何を話すか考えたが、ここに来たら頭の中がすべて消えてしまった。遺影で残ったキム・ジュグン同志ばかり目に入ってくる」とし、涙を流した。「(キム同志を)生き返らせよ」という掛け声は、叫び声に近かった。

 双龍自動車解雇労働者らには忘れられないシーンがある。整理解雇反対のために「玉砕スト」を行った2009年8月5日、双竜自動車の平沢(ピョンテク)工場の屋上。警察特攻隊の強制鎮圧があったその日、その場にキム・ジュジュンさんがいた。キム・ドゥクジュン支部長は「警察特攻隊の殺人的な鎮圧で追い出された解雇労働者たちが生計のために全国に散らばって10年になろうとしている」とし、「李明博(イ・ミョンバク)政権の殺人的鎮圧と政府の損害賠償仮差押えが、そして労働者たちとの復職合意を守らない会社側が、キム・ジュジュン同志を死に追いやった」と話した。

 復職に対する「希望拷問」(叶わない希望を持たせ苦痛を与えること)とともに、国家の損害賠償訴訟は双龍自動車の解雇労働者たちはむごい悪夢だった。警察は装備の損傷と警察官の負傷などを理由に、双龍自動車支部などに14億7000万ウォン(約1億4000万円)の損害賠償を請求した。ソウル高裁は2016年5月、双龍自動車支部が国家に11億3000万ウォン(約1億1200万円)を賠償するよう判決を下した。利子がついた賠償額は雪だるま式に膨らみ、すでに17億ウォンを超えた。警察は損害賠償訴訟を取り下げずにいる。

保守団体のメンバーが今月3日午前、ソウル中区大漢門前で双龍自動車解雇労働者のキム・ジュジュンさんの焼香所設置を妨害している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 記者会見を終えた午前11時57分、双龍自動車支部が焼香所に使うテントを設置しようとすると、もみ合いが生じた。大漢門前で朴槿恵(パク・クネ)前大統領の釈放を要求して座り込みをする「太極旗革命国民運動本部」のメンバー数十人が押し寄せた。彼らは「アカは立ち去れ」、「ここは保守の聖地だ」と大声で叫びながら、テントの設置を妨害し、プラスチック椅子を投げつけた。この団体のメンバーのKさん(67)は「我々が先にここで座り込みデモと集会を行ってきた。国を亡ばせた民主労総と同じ空間にはいられない」と話した。

 焼香所は設置されたが、不穏な同居は続くものと見られる。保守団体のメンバーたちは放送車を焼香所近くに停め、軍歌を大きく流した。軍歌が鳴り響く中で、双龍自動車の解雇労働者たちと市民たちは、明るく笑っているキム・ジュジュンさんの写真に礼をし、白い菊を捧げた。

チョン・ファンボン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/851714.html韓国語原文入力:2018-07-04 07:26
訳M.C

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