安倍晋三政権がこれまで「ない」と主張してきた自衛隊の海外派遣活動文書が発見された。森友学園関連公文書改ざん波紋に包まれた安倍政権に、もう一つの打撃になると見られる。
小野寺五典防衛相は2日、2004~2006年の陸上自衛隊イラク派遣当時の「日報」376日分1万4000頁が発見されたと明らかにした。稲田朋美元防衛相が昨年2月「確認してみたが見つからなかった」と答えた文書だ。小野寺防衛相は国会で、政府がないと答えた文書が発見されたことについて謝罪した。
この問題は、昨年明らかになった南スーダン派遣陸上自衛隊日報隠ぺい事件から始まった。日本政府は、2012年から昨年5月まで国連平和維持活動(PKO)参加のために南スーダンに陸上自衛隊を派遣した。2016年11月には安保法制の制定・改定に基づいて、自衛隊が直接攻撃を受けなくとも周辺の他国軍人や国連職員が危険に陥れば武力を使用できるという「駆けつけ警護」任務を史上初めて付与した。自衛隊が戦闘にまきこまれかねないという憂慮が大きく、自衛隊の活動と周辺状況が分かる日報を公開せよとの要求が起こった。防衛省は、日報は廃棄されたと主張したが、その後に防衛省に保管されていた事実が明らかになった。稲田元防衛相が隠ぺいに加担したという疑惑も起こった。結局、稲田元防衛相は昨年7月に辞任した。彼女は南スーダン派遣自衛隊の日報と関連して追及を受けている間、イラク派遣自衛隊の日報の存在を尋ねる野党議員の質問にも「イラク派遣自衛隊の日報もない」と答えたが、これもまた事実でないことが明らかになった。
防衛省は、南スーダン日報隠ぺい問題を契機に再調査したところ、派遣担当部署ではなく研究本部と衛生部で日報を保管していることを確認したと明らかにした。陸上自衛隊がこの事実を確認したのは今年1月だったが、公表までには3カ月近くかかった。「文書が見つからなかった」と答えた稲田元防衛相は3日「南スーダン問題に関する反省に基づいて、今回徹底的に調査した結果、(イラク派遣自衛隊日報を)発見した」と話した。
安倍政権では、公文書改ざん、でたらめデータ、隠ぺい疑惑が相次いでいる。森友学園に財務省が国有地を安値で売却したという疑惑と関連して、財務省が内部文書を300カ所以上改ざんしていた事件が代表的だ。実際に働いた時間とは関係なく、労使の合意であらかじめ決めておいた時間だけを基準とした賃金を使用者が労働者に支払う制度である裁量労働制と関連しても、政府のアンケート調査がでたらめだったという事実が明らかになり、安倍首相が政府調査を土台にした国会答弁を撤回して謝罪した。
立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は「もう辞めろと言いたい。安倍政権は『改ざん、隠ぺい、責任回避内閣』と言わざるをえない」と述べた。