「光州(クァンジュ)抗争のような歴史を知らなかったら、たぶんオペラ歌手や商業的な音楽をやっていた可能性もありました」
在日朝鮮人2世の歌手である李政美(イ・ジョンミ)氏(60)は20日、ハンギョレとの電話インタビューで「光州に初めて行った時、現場に行ってこそ分かる痛みと消えない何かを感じた」と話した。彼女は22日夕方7時30分、光州国立アジア文化殿堂(ACC)芸術劇場劇場2で「間・つなぐ」をテーマに開かれる舞台に立つ。今回のコンサートは、全南大学湖南学研究員が「第9回感性研究学術大会」の特別公演として準備した。彼女にとっては二回目の光州公演だ。
李政美氏は朝鮮半島と日本の境界の間をつなぐ歌手だ。東京で生まれ、国立音大で声楽を専攻していたところ、韓国の民謡、フォーク音楽などに魅力を感じた。彼女は「1980年に東京で開かれた在日同胞スパイ操作事件で拘束された韓国留学生の釈放を要求する集会に友だちについて行って、初めて舞台に立ったのが自分の人生に大きな影響を与えた」と話した。
李氏は1983年、韓国の民謡、歌謡曲、歌曲などを集めたアルバム『セヤセヤ(鳥よ鳥よ)』を発表し、キム・ミンギの歌を集めたアルバム『キムミンギを歌う』(1986)も出した。韓国名で日本列島を回りながら歌う彼女は、済州島の江汀(カンジョン)村や4・3抗争関連イベントの舞台にも常に参加してきた。
今回のコンサートでは『京成線』など日本語で作った曲を原曲どおりに歌う。東京周辺を走る小さな電車である京成線周辺の町の思い出を込めてつくった作品だ。彼女は「両親の故郷である済州も私の故郷だけれど、東京の町も私の故郷」だとし、「ここで生まれて出会った人と出会ったことすべてが、私の人生に必要なもの」と話した。韓国の歌では『アリラン』と『朝露』、『奪われた野にも春は来るか』と北朝鮮で作った『イムジンガン』などを歌う。
トークコンサート形式である今回の公演の司会を務めるチェ・ユジュン全南大学教授は、「歌手・李政美は、朝鮮半島と日本まで包容する『間』というアイデンティティを持った音楽家」とし、「李政美の歌と話を聞きながら、『韓国人とは何か』という問いを新しい方式で投げかけられるだろう」と話した。コンサートは無料で、国立アジア文化殿堂ホームページを通じて予め申し込むと、座席券をもらえる。(問合せ:82-062-530-0492)