本文に移動

「金正恩に忠誠尽くせ」最後の越北米軍人が死亡

登録:2017-08-22 23:01 修正:2017-08-23 06:48
「わが民族同士」が上げた動画でジェームズ・ドレスノク氏の2人の息子が人民軍服を着て父の死亡事実を明らかにしている。ドレスノクは北朝鮮でホン・チョルスという名前を使用し、息子はそれぞれホン・スンチョル(右・長男)、ホン・チョルという朝鮮名も持っている//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮で暮らしていた「最後の越北米軍」ジェームズ・ドレスノク氏が昨年死亡したことが遅れて明らかになったと、CNNが北朝鮮の祖国平和統一委員会の宣伝媒体「わが民族同士」から引用して22日に報道した。

 北朝鮮に住んでいるドレスノク氏の2人の息子のテッド・ドレスノク氏とジェームズ・ドレスノク・ジュニア氏は「わが民族同士」が19日、「米国系朝鮮人民軍軍官たちとの特別対談」というタイトルで掲載した動画で、父が昨年74歳で脳卒中で死亡したと明らかにした。ウェブサイト「民族通信」を運営する在米同胞のノ・ギルナム氏が進行したこのインタビューで、長男のテッド氏は「父は共和国の胸に抱かれ、亡くなる瞬間まで党の愛と配慮を受けて亡くなった」と明らかにした。彼は「父が頼まれたことが一つがあるとすれば、敬愛する金正恩(キム・ジョンウン)元首への忠誠をつくす忠誠の子となれ、子どもたちもその道が輝くようちゃんと育てろ、ということだった」と話した。次男は「ただ、もっと政府と党の配慮を受けたかっただろうが亡くなったことが残念だ」と話した。軍服を現れた彼らは、北朝鮮なまりの朝鮮語を流暢に使いながら、自分たちは人民軍に服務していると明らかにした。テッドは自分の階級が上尉(韓国軍の大尉と中尉の中間階級)だと明らかにした。

北朝鮮で死亡したものと伝えられた越北米軍のジェームズ・ドレスノク氏の姿//ハンギョレ新聞社

 ドレスノク氏は在韓米軍兵士として服務し、1962年に休戦ラインを超えた。彼は2006年、イギリス人監督が作ったドキュメンタリーで脱走当時の状況を明らかにした。休戦ラインで勤務していた当時、妻と離婚し、先任の兵長のサインを偽造し女性とデートしに行ったことが摘発され、軍法会議に付託される危機に直面したと話した。彼は「私の幼年期、結婚生活、軍生活など全てに嫌気がさした」とし、「行く所はひとつ(北朝鮮)だけだった」と話した。

 ドレスノク氏は北朝鮮の宣伝映画に米軍の役で出演し、有名にもなった。1968年に発生したプエブロ号拉致事件を扱った映画「対決」で、越北元米軍一等兵だった彼は4星将軍の米軍統合参謀本部議長役を演じた。大学で英語を教え、北朝鮮指導者たちの文を英文に翻訳することもした。北朝鮮軍は自分が北朝鮮で幸せに暮らしているという彼の声を録音し、休戦ラインから米軍向け宣伝活動に利用した。

 同僚の脱走兵だったチャールズ・ジェンキンス氏は、ドレスノク氏が平壌(ピョンヤン)でルーマニア女性と再婚したと伝えている。ルーマニア女性との間に今回動画に出演した2人の息子を生み、その妻が死亡した後は、北朝鮮の女性と結婚して三男を生んだ。ドレスノク氏の北朝鮮生活を証言したジェンキンス氏は、やはり在韓米軍に服務していた1965年にベトナム戦争の派兵を恐れて越北し、2004年に脱北し、妻が住む日本に定着した。

 ドレスノク氏が昨年死亡したのが正しいなら、なぜ北朝鮮側が死亡事実を遅れて明らかにし、動画資料まで配布したのか疑問が生じる。今回の映像はユーチューブ(YouTube)にアップされた。米国との対立が激化した状況で、西欧人たちを相手にした宣伝活動の一環と見られる。

イ・ボニョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/807782.html 韓国語原文入力:2017-08-22 16:59
訳M.C(1698字)

関連記事