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韓国政府、女性嫌悪犯罪に量刑上の最高刑を課す方針を発表

登録:2016-06-01 22:56 修正:2016-06-02 06:39
ソウルの地下鉄江南駅10番出口にあった女性殺人事件被害者の追慕空間が、ソウル中区のソウル市庁・市民庁に移された後、追慕の文が書かれたポストイットを市民が見ている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞

 政府が女性を対象にした凶悪犯罪に対して量刑内の最高刑を求刑し、処罰することにした。いわゆる「通り魔」犯罪を防ぐため、精神疾患やアルコール依存症の治療と管理も強化することにした。

 法務部は1日、政府ソウル庁舎で法秩序関連の閣僚会議を開き、こうした内容を盛り込む「女性を対象にした凶悪犯罪と動機なき犯罪への総合対策」を発表した。

 対策には女性に対する凶悪犯罪を減らすための様々な方法が含まれた。まず、調査および処罰が強化される。検察は、女性を対象にした凶悪犯罪に対し、量刑基準刑の範囲内で最高刑を求刑し、裁判所が求刑より軽い刑を宣告した場合は控訴することにした。量刑基準において女性は「犯行に脆弱な被害者」として認められており、女性を対象にした犯罪者は厳重処罰が可能だ。

 現場の警察署で編成される「恋人の間での暴力を根絶するためのタスクフォース(TF)」を積極的に活用し、「デート暴力」が発生した際は直ちに現場に出動すると共に、常習暴力の場合は拘束して捜査することにした。今月中に女性を対象とした犯罪の可能性が高い地域を把握してパトロールを強化し、女性の不安感を増大させる主な犯罪を集中的に取り締まる。強盗や強姦などの凶悪犯罪や女性の零細商人を恐喝する行為、デート暴力事犯などがその対象だ。

 女性の犯罪被害者に対する支援も強化される。女性の犯罪被害者を担当する国選弁護士を追加で配置し、陳述助力人を増員する。また、緊急呼び出し機能や心理治癒アプリを備えたスマート機器を普及させ、女性被害者の身辺を保護すると共に、心理療法を支援することにした。

 再犯や通り魔に関する対策も進められる。捜査の過程で、反社会的人格障害を持つ「ソシオパス」(社会病質者)と判定された被疑者が、事案が軽微との理由で起訴猶予処分された場合、無条件で善処するのではなく、治療を受けることを条件とするなど、被疑者の状態に合わせた対策を進める。また、刑期を終えた連続殺人犯など、凶悪犯罪者を個別に収容して管理・監督し、社会復帰を支援する「保護収容制度」の導入を推進する。改正された精神保健法に基づき、精神疾患の疑いある人が凶器を所持して脅す場合、警察が身柄を確保し、直ちに行政入院を要求するなど、積極的な措置をとることにした。

 しかし、精神障害者団体や専門家たちは、政府の対策が強制入院など、精神疾患者を社会から隔離する方向に傾いてはならないという立場を示した。サムスン社会精神保健研究所のホン・ジンピョ所長は「危険性が明らかな場合は行政入院が必要だが、警察の判断にすべてを任せるよりも、専門家や地域精神保健センターなどと意見を調整しなければならない。治療を受けて健康を回復することを目的にすべきであって、入院が主な目的になるのは本末転倒だ」と述べた。精神障害を持つ犯罪者の治療を義務化し、再犯を防ぐという「治療命令制度」や「治療監護期間の延長」なども、「烙印」を押すことで社会から「隔離」する結果になりかねないとして、懸念を示した。

チェ・ヒョンジュン、イ・スンジュン、パク・スジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-06-01 19:51

https://www.hani.co.kr/arti/society/women/746386.html 訳H.J

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