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韓国崇実大「統一リーダーシップスクール」 北朝鮮を客観的に考え始める学生たち

登録:2015-12-06 22:34 修正:2015-12-12 13:14
3泊4日の統一リーダーシップスクールの最終段階として、学生たちはこの課程で学び討論した内容を基に自らプレゼンテーションを行なった =崇実大提供//ハンギョレ新聞社

 統一リーダーシップスクールで最も人気のあるコーナーは「北朝鮮文化トークコンサート」だ。 崇実(スンシル)平和統一研究院のキム・スンヨン招聘教授が担当しているこのプログラムは、リーダーシップスクール参加学生と2、3人の北朝鮮脱出青年が自由に質疑応答して対話を交わすプログラムだ。

 単純そうに見えるこのプログラムが人気を呼んでいる理由は何だろうか? キム教授は学生たちが今まで接することのできなかった「客観的な北朝鮮」の話を聴けるからだと説明する。キム教授はトークコンサートを始める時、いつも「虚像をとり払って北朝鮮をありのままに見よう」と強調する。この30年余り北朝鮮と北朝鮮脱出者問題を扱って来た彼が見るに、韓国社会の否定的北朝鮮イメージの中には相当“あぶく”が混ざっている。 彼はそんな“あぶく”を取り除き北朝鮮を見ることが統一教育の出発点だと考える。

 たとえば学生たちが「北朝鮮脱出後、北に残っている家族たちは無事なのか」という質問をした場合を見てみよう。 学生たちは「炭鉱や収容所に連れて行かれた」という答えが返ってくるのではないかと緊張する。 しかし北朝鮮脱出青年たちは「故郷で何事もなく過ごしている」と答える。 さらに「最近人伝に小遣いも送った」という話まで聞くと、学生たちは目を丸くすると言う。 これまで韓国社会の保守メディアや保守団体から聞かされてきた話とあまりにも違うからだ。

 キム教授はトークコンサートの主題を文化にした理由について「北朝鮮と言えば常に政治の話ばかりだ」として「そういうことを離れて、人々がどんなふうに暮らしているかという話をすることが重要だと思った」と話す。 学生たちも「北朝鮮脱出の動機」だとか「統一費用」などの政治的な質問はしない。 代わりに「北朝鮮では韓国ドラマが人気だそうだが、どうやって見るのか」など、生活に関わる質問を多くする。そして北朝鮮脱出青年たちの返事にもう一度驚く。

 「以前はCD-Rを利用していたが、今はスマートフォンでダウンロードする場合も多いです。 現在北朝鮮の携帯電話利用者は300万人を超えています」

 キム教授はトークコンサートの間、ほとんど干渉しない。 しかし彼がコンサートの最終段階に至ると必ず投げかける質問がある。「北朝鮮が韓国よりいい点は何だと思うか」

 キム教授は「北朝鮮が悪いとばかり言うが、じゃあどうして悪いばかりの北朝鮮と統一しようとするのかという矛盾に陥る」として、「いくら悪い人でも長所があるように、いくら北朝鮮が悪いと言っても長所はあるのだ」と強調する。

 北朝鮮脱出青年たちが主に挙げる北朝鮮の長所は「素朴で温かい情、人間的な面、澄んだ空気」だ。 ある北朝鮮脱出青年は「韓国の子供たちはコンピューターと遊び、北朝鮮の子供たちは人と遊ぶ」と言って、南北を較べたという。 こんな返事が返ってくれば学生たちは自然とうなずくようになるという。

 約3時間のトークコンサートに参加する中で、学生たちは“あぶく”を取り除き北朝鮮を客観的に見るための最初の敷居を越えるというのがキム教授の説明だ。

キム・ボグン ハンギョレ平和研究所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/720330.html 韓国語原文入力:2015-12-04 09:51
訳A.K(1510字)

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