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ハッキング疑惑で批判される国家情報院が職員集団声明で反発

登録:2015-07-20 22:29 修正:2015-07-21 07:36
19日午前、「国家情報院ハッキング事件」と関連して波紋が広がっている、ソウル江南区内谷洞の国家情報院=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 「名もなき献身」を誓った人たちが「国家情報院の職員一同」という「無名」を掲げて初の集団行動に出た。ハッキング査察(監視)疑惑に対する国会の調査が差し迫った状況で、「一部の政治家」、「政治的攻勢」、「嘆かわしい現象」など、強硬な表現を用いた「全職員の声明」を発表し、組織的な反発を示したことについて、国家情報機関が組織利己主義に溺れて制御不能に陥るのではないかという懸念まで出ている。

 国家情報院は19日午後8時35分頃、統一部担当の記者たち宛ての電子メールで「同僚職員を見送りながら」という題名の声明を送った。「国家情報院職員一同」名義の声明には、前日、自ら命を絶ったハッキングプログラム担当職員イム氏(45)の死を惜しみ、査察疑惑を全面否定する内容が盛り込まれていた。「自国の情報機関を悪い機関として罵倒するため、毎日根拠のない疑惑を競争的に提起する国は韓国しかない」、「百害あって一利なしの議論が続いている」と述べた。また、「(同僚の)死を、政治攻勢を続けるための素材とする嘆かわしい現象が続いている」とし、マスコミと野党の真相究明の努力を「政治攻勢」と批判した。

 「職員一同」となっているが、多くの国家情報院職員は事前に声明の内容を知らされていなかったという。国家情報院関係者は、「職員の数が多く、全体回覧はできなかったが、各部門の共通認識に基づいて作成した声明だ。これまでいくつかの疑惑提起について一切対応しなかったが、同僚の死までも貶そうとする動きがあったので、(声明を)出すことになった」と話した。この関係者は、「声明の配布は国家情報院長の決裁を経た」と述べた。別の関係者は、「事前に声明の文言は見ていないが、職員を代表できるような人たちが文言を作成しただろう。声明の内容は、内部の雰囲気を反映していると思う」と話した。

 「世界情報史」に残る情報機関の集団行動は、批判と懸念を読んでいる。キム・ヨンロク新政治民主連合の首席報道官は20日、「一体どの国の情報機関の職員が共同声明という集団行動に出るだろうか。国家情報院の指導部が、職員たちを前面に出して世論工作を行っているという疑念を抱かざるを得ない」と述べた。緑色党はコメントで「一介の機関が職員一同名義の報道資料を発表すること自体が“国の綱紀を乱す”ことだ」と批判した。国家情報院の元職員は、「あり得ないことだ。職員の数も秘密なのに『従業員一同』で声明を出すなんて話にならない」と話した。彼は「国家情報院の報道官室や国会情報委員会を通じて立場を表明することもできたはずなのに、事実上どうなってもいいということだと思う。『生き残らなければならない』という生存の論理が働いているようで残念だ」と語った。

 イ・ビョンホ国家情報院長の決裁を経たこの声明について、公務員の集団行為を禁止した国家公務員法に違反した疑いも提起されている。大法院(最高裁)は、全国教職員労働組合の時局宣言について2012年、「公務外の集団的意思表現行為」に該当するとし、有罪を宣告した。イ・ジョンス延世大学法学部教授(憲法学)は、「全教組のように政府の政策や時局の意思表現でもなく、自分たちの違法行為に対する疑惑について、従業員一同の声明を出して反発するのは、前例がない。政府が一貫性のある法執行をするのなら、国家情報院の行為も問題になり得る」と指摘した。

チェ・ウリ、イ・スンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-07-20 19:54

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/701022.html  訳H.J

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