本文に移動
全体  > 文化

韓国文壇を代表する申京淑氏が三島由紀夫の小説を盗作か

登録:2015-06-17 22:53 修正:2015-06-18 07:28
小説家の申京淑氏 //ハンギョレ新聞社

 韓国文壇を代表する小説家、申京淑(シン・ギョンスク)氏が、日本の小説家の三島由紀夫の作品を盗作したという主張が出され衝撃を与えている。申氏の盗作論議はこれが初めてではないが、今回の主張は申氏の盗作疑惑に十数年間にわたり沈黙してきた韓国文壇に対する正面からの問題提起であり、波紋は一層大きくなるものと見られる。 三島由紀夫は1970年11月、自衛隊の覚醒と決起を叫んで割腹自殺した代表的な右派だ。

 小説家であり詩人であるイ・ウンジュン氏は16日、ハフィントンポスト・コリアのブログに書いた「偶像の闇、文学の堕落」というタイトルの文で、申京淑氏の短編小説『伝説』の一部が三島の短編小説『憂国』の翻訳本を盗作したものと主張した。 三島の『憂国』の翻訳本の中の「二人とも実に元気な若い肉体の所有者であったせいで、彼らの夜は激烈だった。(中略)初夜を過ごして一カ月が過ぎようかという時、すでに麗子は喜びが分かるからだになっていたし、中尉もそんな麗子の変化を喜んだ」(『金閣寺、憂国、宴のあと』233ページ、1983)という文章が、申京淑の『伝説』では「二人とも元気な肉体の持ち主だった。彼らの夜は激烈だった。(…)初夜を持ってから二カ月余り、女はすでに喜びが分かるからだになっていた。(…)女の変化を最も喜んだのはもちろん男だった」(『ずっと前に家を出た時』240~241ページ、1996)に変わったというのだ。

 イ氏はこの点を提示して三島の作品を翻訳した詩人キム・フラン氏が「(以前、他の人の翻訳で)「愛の喜びを知った」という地味な表現を「喜びが分かるからだになった」という流麗な表現に翻訳した」として「このような言語の組合わせは(中略)意識的に盗用せずには絶対に飛び出し得ない文学的遺伝工学の結果である。(中略)純粋文学のプロ作家の一人としては、とうてい容認されえない明白な作品窃盗行為、盗作」だと明らかにした。

 イ氏は「もともと申京淑は盗作論議がきわめて頻繁な作家」だとして、申京淑氏が小説『いちご畑』に在米留学生アン・スンジュンの遺稿集『生きてはいる』の序文を無断で使ったこと、長編小説『汽車は7時に出る』と、短編小説『別れのあいさつ』がパトリック・モディアノと丸山健二の小説の中の文章とモチーフ、ムードを盗作したなど、1999年にハンギョレの紙面等を通して疑惑が提起されたことに言及した。 申氏は『いちご畑』盗作疑惑に対して、出所を明らかにせず使ったことは認め謝ったが、盗作疑惑は強く否定した。

 イ氏は盗作問題を提起した理由について「申京淑は単なるベストセラー作家ではない。 申京淑は韓国文壇で処世の達人である評論家から神様のように持ち上げられ、東仁文学賞の終身審査委員を受け持っている等々の理由で、韓国文壇の最高権力でもある」とし、何度も盗作論議が起きたにもかかわらず、文壇の沈黙の中で「韓国文学にみじめな堕落を持たらすことになった」と嘆いた。さらに「今私がこの文を書いて誰かがこの文を読むということは、誰かが誰かの欠陥をつかみ出して攻撃する性格では決してない」として「韓国文人の誇りを回復するためであり、浅薄な環境の下でも血と汗の雫で韓国文学を編み出して来た先輩作家と読者に謝罪しようとする今日の韓国文人すべての姿だ」と強調した。

イ・ジェソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/696352.html 韓国語原文入力:2015-06-17 14:28
訳J.S(1617字)

関連記事