スティーブ・ジョブスのiPhone登場以後、守勢に追い込まれてきたマイクロソフト(MS)が、“帝国の帰還”に向けた遠大な青写真を明らかにした。既存のPCのOSとして認識されてきた「Windows」を、モノのインターネット時代のすべてのコンピュータを統合するプラットホームに脱皮させることが核心だ。バーチャルリアリティ・ヘッドセット「ホロレンズ」を通じて、人間とコンピュータのインターフェースを画期的に変えるというビジョンも出した。
マイクロソフトは6日、ソウル光化門(クァンファムン)の韓国支社の本社で先月29日から5月1日まで米国サンフランシスコで開かれた開発者カンファレンス「ビルド2015」に関する記者説明会を開いた。 この日の発表の核心は“プラットホーム”だった。 まずOSのWindowsを次世代バージョン(Windows10)から現在のデスクトップOSを超え、すべての機器に統合的に使われるプラットホームに進化させると宣言した。 開発者プラットホーム事業本部のキム・ヨンウク部長は「Windowsはもはや個人用コンピュータのみならず、スマートフォン、タブレット、エックスボックス(同社の家庭用ゲーム機)はもちろん、モノのインターネット時代の各種小型コンピュータ、新製品ホロレンズまで共通に適用されるプラットホームになる」と話した。
これは人がコンピュータを活用するすべてのプロセスをこの会社の垣根の中に抱える構想として解説される。 開発者の立場で見る時、このような新しい環境はWindows用アプリケーション プログラムを真っ先に作る大きな魅力として作用する。モバイル・アプリを一つ作れば、それをコンピュータ、タブレット、ゲーム機、ひいては今後Windowsを活用して出てくる未知の“モノのインターネット”機器にまで汎用で活用し、多様なユーザーたちにアプローチできるためだ。 このように多様なプログラムが作られれば、さらに多くの人々がWindowsプラットホームに入ってくることになり、好循環が形成されることになる。
マイクロソフトは野心に満ちた“プラットホーム変貌”を通じて、ゲーム地図を変え、競争企業間の壁さえも崩す計画だ。 サンフランシスコのカンファレンスでマイクロソフトは、自社プログラミングツールである「ビジュアルスタジオ」の変化も発表した。 この新製品は、Windowsだけでなくアップルの「iOS」、グーグルの「アンドロイド」用プログラムまで作れるようにした。 自分の製品一つで他のプラットホームにも入れるようにしたわけだ。
事務用プログラムの「オフィス365」もプラットホームに変わる。エクセル、ワード、アウトルックが全て外部プログラムと連動する形だ。 例えば、スケジュール管理プログラムであるアウトルックを、車両予約モバイル アプリの「ウーバー」と連動させ、希望の時間になれば改めてウーバーを実行する必要はなく、自動的に事務室前に車が待機するようにできる。 マイクロソフトのクラウド サービス「アジュール」も競争会社のサーバーまで提供する。
今回の行事で公開したホロレンズもコンピューティング環境の枠組みを急変させる可能性がある。 ホロレンズは頭にかぶるバーチャルリアリティ・ヘッドセットで、何もない空間に2次元画面または、3次元(3D)模型を浮かべることができる。 これまでスクリーンで行われてきたコンピューティング環境を“空間”に拡張し移動させたわけだ。米紙ニューヨーク・タイムズは先週、特集記事を通じてこの技術が「スマートフォンに代わる次世代インターフェースになる可能性がある」と予想した。