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朝鮮王朝徳宗の御宝が帰国の途へ

登録:2015-03-25 20:51 修正:2015-03-26 08:08
徳宗御宝。  文化財庁提供//ハンギョレ新聞社

 約50年前に米国に搬出された朝鮮王朝・徳宗(トクチョン 1438~1457)の“御宝”が来月韓国に帰ってくる。 御宝とは、朝鮮王室が国王、王妃などの尊号(徳を賛える称号)を与える際に作った儀礼用印鑑だ。 歴代の王の霊廟である宗廟(チョンミョ)に安置され、国家的尊厳を象徴する文化遺産とされる。

 文化財庁は4月1日午後2時、ソウルの景福宮(キョンボックン)境内にある国立古宮博物館で、徳宗御宝の返還式を開くと25日明らかにした。 返還式には徳宗御宝を保管してきた米国シアトル美術館のロスシャフ館長と、徳宗御宝を美術館に寄贈した収集家である故トーマス・D・スチムスン氏の外孫らが参加する。 これに先立ち文化財庁は昨年7月からシアトル美術館と交渉を行った結果、昨年12月に返還に合意したと発表していた。

 徳宗御宝は朝鮮9代の王である成宗(ソンジョン)が、後継者として冊封されたものの王位に上がれず、若くして亡くなった父(徳宗)に“温文ウィギョン王”という尊号を与えて作ったものだ。 目、鼻、口などを写実的に彫刻した亀形の取っ手が印版の上に安定感をもって乗っているデザインだ。「朝鮮王室の威風堂々として堅固な気性をよく現わす朝鮮前期御宝の傑作」と文化財庁は評価した。 日帝強制占領期間に作られた『宗廟永寧殿(ヨンニョンジョン)冊宝録』には、1924年までソウル宗廟の永寧殿に保管されたという記録が伝えられ、日帝末期あるいは解放時期、朝鮮戦争時期に盗難され宗廟の外に流出したと見られる。 以後、御宝は米国に流出し、現地の古美術品市場で取り引きされ、1962年に文化財収集家のスチムスン夫人がニューヨークで購入し、翌年シアトル美術館に寄贈したという。 スチムスン夫人はシアトル美術館理事・後援者として活動し、アジア美術市場の傑物と呼ばれた人物だ。

 文化財庁は昨年米国土安保捜査局(HSI)が現地で押収した文定王后御宝と顕宗御宝も今年中に韓国内に返還するため協議を進行中と伝えた。

ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/683869.html 韓国語原文入力:2015/03/25 11:05
訳J.S(1018字)

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