脱北者団体の自由北朝鮮運動連合(運動連合)が、韓国政府の自制要請を物ともせず19日夜、京畿道坡州(パジュ)市から10万枚ほどの対北朝鮮ビラを奇襲的に散布した。 同団体のパク・サンハク代表は20日に記者会見を自ら要望し「北朝鮮が正月(旧正月の2月19日)までに南側からの対話提案に応じなければ、金正恩北朝鮮労働党第1書記の暗殺を描いた映画『インタビュー』のDVDを大量散布する」と話した。
パク代表は記者会見で「19日夜11時頃、京畿道坡州市炭県(タニョン)面 文智(ムンジ)里から対北朝鮮ビラ10万枚を散布した。インタビューのDVDは今回は入れなかった」と明らかにした。 19日のビラ散布にはインタビューDVDの北朝鮮散布のための募金運動を行っている米国の人権財団(HRF)関係者20人余りも参加した。
19日に飛ばしたビラが北朝鮮に渡ったかは不明だ。 気象庁資料によれば、19日夜11時の坡州地域は“静穏”(風がなく平穏な)状態だった。 風が北向きに吹かなけれ、対北朝鮮ビラはほとんどが南側地域に落ちる。 一部では人権財団と運動連合側がインタビューのDVD散布のための募金を促進する目的で風向きと関係なく奇襲散布を強行しマスコミに公開したのではないかとの観測も出ている。 ソア・ハバスン人権財団代表は「ビラ散布のために無人機トロンを飛ばす方法なども考慮している」とし、「今年はインタビューのDVD10万枚を散布することが目標」と話した。 記者会見が開かれたソウル龍山(ヨンサン)の戦争記念館正門にはビラ散布に反対する市民団体が出てきて「戦争の脅威を煽り立てるな」と示威を行い、一時は小競り合いも起こった。
朴槿恵大統領が今月12日「表現の自由と地域住民安全問題を調整し、ビラ散布を調整する」と明らかにしたにもかかわらず、ビラ散布を阻めなかった韓国政府の対応に対する批判も出ている。 韓国政府は19日、数十人が関わったビラ散布に事前対応しなかった。 パク代表は韓国政府の公文書があれば自制を検討すると明らかにしていたが、統一部は公文書を送らない方針を守っている。 チョン・ソンジャン世宗(セジョン)研究所首席研究委員は「政府の煮え切らない対応が今回のビラ散布再開を呼び起こした」として「政府に南北対話の断絶を解決する意志があるならば、より積極的に出なければならない」と指摘した。