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[社説]遺族が同意していないセウォル号特別法の合意

登録:2014-10-01 07:16 修正:2014-10-01 10:14

 生みの苦しみと多くの曲折の末に与野党がセウォル号特別法に合意した。セウォル号の沈没事故から5か月と半月が経ってからだ。与野党は徹底した真相究明を叫んでいたのに、これほど遅くなったことを思うともどかしく残念なばかりだ。

 合意内容を見てみると気がかりな内容が少なくない。与野党は特別法に合意したが、政府組織法と「ユ・ビョンオン法」(犯罪収益隠匿処罰法)の合意案を整備して、10月30日までに一括処理することにした。セヌリ党が別の法案も特別法に合わせて処理することを求めたためで、特別法立法がまた他の暗礁にぶつかっていっそう遅れる可能性もある。

 野党と遺族の折衷案は特検の4人の候補を推薦する際に与野党と遺族の3者の合意を経るようにした案だった。しかし遺族の参加をセヌリ党に断固拒否された新政治連合は、「遺族を除いた与野党合意の推薦」と譲歩しかけて遺族の反発を買う雰囲気になり、再び「遺族の参加は今後の課題」と翻った。

 セウォル号の国政調査などで政界に不信を募らせた遺族らは特検の推薦にも直接参加できなくなりいっそう悔しいはずだ。もちろん新政治連合としても言いたいことはあるだろう。“特別法のその後”を見すえて進むしかないと見て下した苦肉の策という弁明も一理はある。それでも新政治連合は遺族の同意にプレッシャーをかけるような形で特別法に合意したという重い頸木(くびき)を掛け続けることになった。

 特別法の合意は第一歩に過ぎず、真相究明をしうるフレームができたに過ぎない。与党と大統領府が交渉の過程で見せた態度に鑑みれば「聖域のない徹底した真相究明」という目標に達するには今後も多くの関門にぶちあたる可能性は大きい。野党はこの間に表した無能と乱脈を教訓に猛省して必死に努力しなければならないはずだ。特別法の合意で“開店休業”状態だった国会が正常化したことは幸いなことだ。政界は国民が政治に嫌気をささせるようにセウォル号政局をずるずると続けてきた原因が何かを点検して改善点を模索すべきだ。

 反省が必要なのは政界だけでない。私たち皆が4月16日に戻り、「セウォル号の前と後では変わらなければならない」としたあの日の誓いと覚悟を再確認する必要がある。少なくともあの時なら、セウォル号問題は進歩と保守の問題でも、政府とその反対派の争点でもなかった。皆が「このままではだめだ」と共感した問題意識に立ち返って出発したとき、問題の本質が明確になり、どこを正して何からまず手を付けるべきかはっきりと分かるだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/09/30 21:29

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/657694.html 訳T.W(1186字)

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