セウォル号事故当日、朴槿恵(パク・クネ)大統領の空白の7時間を悪意的に報道した産経新聞の記事が、もう一つの韓日外交葛藤に飛び火する兆しを見せている。
アセアン地域フォーラム(ARF)に参加するためミャンマーのネピドーを訪問した岸田文雄日本外相は10日、日本の記者と会見し「前日、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相に『(検察の召還通知が) 韓日両国関係に影響を及ぼしかねない。報道の自由の観点から憂慮し注目している』と話した」と明らかにした。これに関して尹炳世外相は9日ミャンマーのネピドーで岸田外相と今年に入って初めて行われた韓日外相会談で「産経が根拠のないデマを引用して悪意的に報道し、隣国の国家元首の名誉を深刻に毀損したことは極めて遺憾に思う」との立場を日本に伝達した。しかし、岸田外相の反応は、両国の外相がこの問題に対してお互いに異なる視点を持っていることを示している。これに関して現場にいた日本の記者たちも、青瓦台の態度を理解できないとの反応を示した。ある日本の記者は「加藤逹也支局長は元々『反韓国』傾向の記事を多く書く人だが、該当の記事の中で特に問題となったチョン・ユンフェ氏の部分は朝鮮日報のコラムを引用したものなのに、なぜ朝鮮日報を問題視せず産経新聞にだけ法的措置を取るのか」と言った。
ソウル中央地検刑事一部(チョン・スボン部長)は、朴大統領の名誉を毀損した容疑で告発された産経新聞の加藤逹也ソウル支局長(48)に12日(後に18日に延期)出頭せよと通達したと10日、明らかにした。検察は法務部に加藤支局長の出国禁止も要請したと伝えた。青瓦台が産経新聞に対する強硬方針を公式に明らかにすると、検察もこれに合わせて迅速に対処に出たものと見られる。加藤支局長は一応、検察に出頭する予定だ。小林毅・産経新聞編集局長は「問題となった記事は、韓国国会での質疑回答や朝鮮日報に掲載されたコラムなど、公開情報を中心にして、これを紹介する形式で作成されている」と主張した。
検察の今回の出頭要請は、「自由守護青年団」や「独島愛好会」などの市民団体がそれぞれ6日と7日に加藤支局長を名誉毀損の疑いでソウル中央地検に告発したことに伴うものだ。大統領府も今月7日、市民団体の告発と関係なく大統領府または朴大統領が主体となる民事・刑事上の訴訟をするとの方針を明らかにした。尹斗鉉(ユン・ドゥヒョン)大統領府広報首席は8日、セウォル号事故当日の朴大統領の動静に関して「(大統領府の)構内にいた」と強調した。
これに先立ち産経新聞は今月3日、金淇春(キム・ギチュン)大統領府秘書室長の国会運営委員会での答弁内容と朝鮮日報コラム、証券街の情報誌の内容などを引用して「セウォル号が沈没した日、朴大統領が7時間にわたって所在不明になった」と私生活の疑惑などを提起する報道をした。
キム・ウォンチョル記者、ネピドー/キム・ウェヒョン記者、東京/キル・ユンヒョン特派員 wonchul@hani.co.kr