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[社説]中国の韓国人死刑は「残念」ですむのか

登録:2014-08-08 21:08 修正:2014-08-09 09:10

 麻薬の密売買容疑で逮捕された韓国人3人に対して、中国が6、7の両日、相次いで死刑を執行した。中国は2001年と2004年にも韓国人収監者の死刑を執行した。中国以外の国ではこうしたことは起きていない。中国で麻薬などの犯罪で死刑宣告を受けた韓国人は約20人になるとされ、その執行は今後も増える恐れがある。

 中国当局は「麻薬犯罪は外国人でも国民と同じ基準で処罰している」として、韓国政府の善処要請を拒否したという。19世紀の阿片戦争以後、半植民地として虐げられた歴史を持つ中国としては、急増傾向にある麻薬関係者を厳しく処罰せざるを得ない事情があるのだろう。中国の刑法は麻薬や覚せい剤を50グラム以上密輸すれば死刑に処しうるとなっていて、その数百倍を密輸した死刑囚に対する容疑が重いのも事実だ。

 しかし、それにしても中国の処置は行き過ぎだ。まず何よりも死刑はそれ自体が野蛮で異常な刑罰であり、人間の尊厳と価値を根本的に否定するものだ。生命の尊さを守るべき国家が、死刑制度という殺人を犯すことも間違っている。死刑などの厳罰だけで犯罪の抑制や予防が可能でないことも立証されている。すでに140か国が死刑制度を廃止または執行を停止している。韓国も1997年以後、死刑執行をしていない。そのような世界的な流れに逆行して中国は毎年数千人を処刑しているだけでなく、その内容を国家機密として一切公表していない。国際人権団体は、中国では不確かで不透明な手続きをもって死刑に処される場合が多いと指摘している。ただでさえ人権後進国という非難を受けているのに、死刑制度を廃止したり実質的に死刑を廃止している国の人間を相次いで死刑に処しているのだ。自国の都合だけを優先させる許し難い傲慢ぶりと言えよう。

 韓国政府がこうした事態を阻むための努力を尽くしたかも問わざるをえない。犯罪者といっても在外国民である以上、憲法に基づき国家に保護する義務がある。外交長官まで乗り出して善処を要請したとは言え、果たして本気だったのか疑問だ。総理や大統領が中国の最高上層部と直接接触し、自国民の死刑囚に対する赦免を強力に要請した英国やフィリピンとは差がある。死刑執行後も外交部は「非常に残念に思う」 という反応を示したに過ぎず、公式な抗議もしなかった。こんなことだから顔色ばかり伺っていると言われるのだ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/650263.html 韓国語原文入力:2014/08/07 18:41
訳T.W(1123字)

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