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[特別寄稿l] 対決構図から抜け出して‘東北アジア均衡者’になるための創意的戦略を探そう

登録:2014-07-06 22:01 修正:2014-07-07 07:21
イ・ジョンソク元統一部長官 韓半島平和フォーラム共同代表

かけ声だけの政策が状況悪化を招く
北-日交渉、北開放のための機会と見なし
韓-日軍事協力、共同安保の枠組み守り
‘平和ための多者間協力’基礎に
東北アジア‘イシュー主導国家’として生まれ変われ

 東北アジアが激動している。 歴史問題に触発された韓-日、中-日葛藤の激化と、日本政府の集団的自衛権行使議決、北-日交渉の急速な進展、事実上中国を狙ったアメリカの高々度ミサイル防御(MD)システムである‘サード’の韓国配置検討など、最近発生した一連の事態は十分に‘激動する東北アジア’という話を実感させる。

 ところで、東北アジアを激動に追い立てた事件は、北-日交渉を除けば全て平和を脅かし、東北アジア多者安保という時代的課題に正面から反するものだ。 日本の集団的自衛権行使は米-中葛藤だけでなく、韓-米間にも緊張要素として作用している。 この問題を米-日同盟の強化という側面で理解しようとしている米国と、日本軍国主義による収奪の歴史的苦痛に基づいて反対する韓国の間に軍事的利害が衝突している。 ‘サード’の韓国配置や、韓国のMD体制編入問題は、東北アジアの緊張を高め米-中関係に影響を及ぼす一方で、中国には韓国が平和のイニシアチブを行使する能力と意志があるかを調べるリトマス試験紙になる可能性が高い。

 反面、北-日交渉は安倍政府と金正恩政権の政治的意図とは関係なく、東北アジア情勢の緩和に肯定的な影響を及ぼすだろう。 韓・米政府は北-日交渉が国連の対北朝鮮制裁戦線に亀裂を起こさないか憂慮しているが、北朝鮮の核実験を懲らしめるための制裁がすでに失敗している以上、そのような憂慮は事実上意味がない。 むしろ北朝鮮が追加核実験をしないでこそ北-日関係の進展が可能だという現実条件を考慮すれば、北-日交渉の成功的な進行は、それだけ北朝鮮の核実験意志を制御する効果があると見なければならない。 北-日関係の進展は、北朝鮮の開放にも肯定的な影響を及ぼすだろう。 問題は韓国政府が南北対決の観点から、北-日交渉を機会と見るのではなく挑戦要素として認識しているために一層問題が絡まると見られる。

 不幸にも私たちは既存の安保問題を解決できない状態で新しい事件が作り出した激動する東北アジアの真中に進入した。 南北関係は去る6~7年間、不信と対決が累積して葛藤と対立局面から抜け出せずにいる。 北の核問題は相次いだ北朝鮮の核実験と核保有国宣言の中で、どのように解くべきか、その手順さえ捉えにくい状況に陥っている。 東北アジア情勢も2013年以後、韓・中・日3国首脳会議が中断されるほどに葛藤が激しくなってきた。 したがって私たちは今激動する東北アジア情勢のどん詰まりで多者協力に向けたその間の努力が水の泡になり、韓半島の平和が漂流するシルエットを見ながら、平和に向けた韓国のイニシアチブがしん気楼に変わったことを感じる。

 しかし、暗鬱な未来に向かう予約列車に他ならないこの状況を放置することはできない。 困難であっても既存の課題と新しい挑戦要素を韓半島の平和という戦略的枠組みの中に配列して、能動的に状況を打開していかなければならない。 この間、朴槿恵(パク・クネ)政府が遂行してきた政策を見る時、何を期待できるか、極めて堪え難い思いだが、それでも難局を克服して行く主体は政府なのでいくつか苦言を言わざるをえない。

 先ず、現実を直視して合理的な戦略をたてなければならない。 美辞麗句の政策モットーだけで、内容が空虚な政府の統一外交安保政策の結果は、逆説的に状況の悪化であり韓半島平和の漂流であった。 今後はプロセスなき韓半島信頼プロセスに、平和を実現する具体的プロセスを作り、実現方法が脱落した統一大当たり論にどのように(how to)という内容を満たして、虚しい東北アジア平和協力構想に韓半島平和体制議論を輸血し生命を吹き込まなければならない。

 南北対決的思考からも抜け出さなければならない。 韓-中首脳会談に見るように、北の核放棄のための方法論は後まわしにして、すでに終わった体制競争で優位を誇示するために北核反対のための外交的文面を探すことに外交力を消耗してはならない。 これは南と北がそれぞれ中国の両手にモチを与えて、その大きさを比較して‘選択’を楽しませる自主的上納、いわば‘現代版朝貢’に他ならない。

 南北関係では当局間対話を大胆に再開し、軍事的緊張を緩和して5.24措置を解除して、全面的な南北経済協力を推進しなければならない。 失敗した5.24措置にこだわることは、韓国経済の北方への進出機会を遮断し、長期的に南北共同体形成に致命的な困難を作るだろう。 北朝鮮には休戦ラインだけでなく北朝鮮-中国国境というもう一つの境界があることを忘れてはならない。

 北の核問題で6者会談を早期再開して、まず北の核を凍結し、引き続き少しずつ完全廃棄を実現する段階的接近に切り替えなければならない。 もう経済制裁を通じて北に核を放棄させることはできないという現実を認めなければならない。アメリカと体制安全担保および経済制裁解除を条件に核を放棄させたリビアのカダフィ政権が、ナトー軍の空襲を受けて崩壊した事件(2011年)を契機に北朝鮮の核保有意志がはるかに強まったという事実を考慮した新たな戦略が必要だ。このような脈絡で‘6者会談再開および持続稼動→北核凍結→北核完全廃棄’の3段階を北朝鮮の正常国家化(体制安全および関係正常化、経済発展実現)過程と連動させ、9・19共同声明の諸般の原則に基づいて推進すべきだ。

 東北アジア平和のための韓国の均衡者・促進者の役割も復活させなければならない。 何よりも東北アジア多者安保を追求し、韓・米・日あるいは韓・米 対 中国・北朝鮮という基本構図を乗り越えなければならない。 このような脈絡で、韓日間の政治外交葛藤の中で最も本質的な軍事協力が成り立つあきれかえるような自己矛盾は早く克服しなければならない。 強調するが、韓-日軍事協力は東北アジア多者安保あるいは共同安保指向の枠組み内のみで進めなければならない。 排他的韓-日、あるいは韓・米・日軍事協力は東北アジアの緊張を高め日本の軍事力膨張を暗黙的にほう助する行為になるためだ。

 結論的に、東北アジア国家は今日の退行的状況を克服して、多者間協力が共同の利益になる時代に進むべきで、韓国はそのために葛藤ではなく共同協力できるアイディアを創造的に提示し導いていくイシュー主導国家に生まれ変わらなければならない。

イ・ジョンソク前統一部長官 韓半島平和フォーラム共同代表

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/645721.html 韓国語原文入力:2014/07/06 21:09
訳J.S(2900字)

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