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駆け引きの対象に転落した‘最低賃金’…最小限の基準を法で定めるべき

登録:2014-07-01 00:22 修正:2014-07-01 07:36
アルバイト労組会員たちが11日午前、ソウル太平路(テピョンノ)の韓国言論財団で開かれた今年初めての最低賃金委員会全体会議に参加するため入場するパク・ジュンソン委員長(右端)に最低賃金の引き上げを促している。 シン・ソヨン記者viator@hani.co.kr

 来年の最低賃金が去る27日 時給5580ウォンと決定された。 だが、例年行事のように今年も凍結を主張した使用者側と、28.6%の引き上げを要求した労働界の間の激しいやりとりの末に終盤に公益委員が提示した7.1%引き上げ案で決定された。 公益委員は後手に回り、最後にようやく審判官の振舞いをするや、労働界は最低賃金が‘駆け引きの対象’に転落したと批判して出た。 最低賃金制度の趣旨が失われたという指摘だ。

 公益委員にも言い分はある。 最低賃金委員会の公益委員幹事を受け持っているイ・ジャンウォン韓国労働研究院賃金職務センター所長は30日<ハンギョレ>との通話で「あたかも労使の力比べのようになったが、公益委員は(労使のように)組織の代表ではない。 政府を代表するとは言うものの、私たちに権限を委任したわけでもない。 専門的な調整と仲裁が私たちの任務」と話した。

 事情がそうであれば、最低賃金委員会の議論構造から変えなければならないという声があふれている。 まず委員会での議論が0~28.6%の間で乖離を狭める方式で接近することは消耗的であり、最小限の基準を法で用意しようという主張だ。 関連法案もすでに国会に提出されている。

 シム・サンジョン正義党議員が提出した改正案は、労働者の生計費、類似労働者の賃金水準、労働生産性および所得分配率、物価上昇率などを考慮して最低賃金を定めるものの、労働者全体の賃金平均の50%以下にはならないように法律で釘を刺そうという内容だ。 文在寅(ムン・ジェイン)新政治民主連合議員も、物価上昇率を確実に反映させる内容の法改正案を提出してある状態だ。 与党のキム・ソンテ議員も最低賃金決定の基準要素に経済成長率と物価上昇率を追加し、消耗的な論争を防ぐことから始めようと主張している。

 韓国銀行が明らかにした今年の経済成長率(4.0%)、消費者物価上昇率(2.1%)予想値を適用しただけでも概略6.1%が出てくる。 ここに所得分配率を適用すれば最低賃金引上げ率は今年の決定より高くなる。 また、昨年の5人以上事業場の労働者の定額給与(時給1万5567ウォン)の50%は7783.5ウォンになる。 27日に決定された来年の最低賃金5580ウォンをはるかに上回る水準だ。

 最低賃金の決定に国会が積極的に関与するようにする内容の法改正案も出ている。 ユ・スンヒ新政治民主連合議員は「国民の代表機関である国会が最低賃金を決めよう」という内容の法案を出した。 同党のイ・モクヒ議員は最低賃金委員会が議決した最低賃金案を国会が再議した後、委員会に勧告案を出してこれを再び委員会が決める方式を提示した。 だが、国会に最低賃金の決定権限を与えることになれば、多数党の政治・経済的指向により最低賃金の引上げ率が大幅に揺れ動きかねないという指摘も出ている。

 当初、低賃金労働者に最小限の人間らしい生活を保障しようという趣旨の最低賃金を、政策的考慮と社会的合意で解決することを最低賃金委員会に押し付けている現在の方式を変えなければならないという声も強い。 イ・ジャンウォン所長は「国会が賃金と所得分配をもう少し巨視的な見識で議論するために、所得分配改善委員会のような枠組みを作って最低賃金の道案内の役割をして、適正水準を提示する必要がある」と話した。

 キム・ユソン韓国労働社会研究所先任研究委員は「朴槿恵大統領が候補時期に経済成長率と物価上昇率、所得分配調整分まで考慮した最低賃金引き上げ基準を用意すると言った以上、雇用労働部が低賃金問題を解消するための具体的な実行方針程度は出すべきなのに現実はそうなっていない。 問題は政府にその意志がないということ」と指摘した。

チョン・チョンフィ記者 symbio@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/644870.html 韓国語原文入力:2014/06/30 22:34
訳J.S(1740字)

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