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[社説] 相次ぐ‘危険社会’の惨事

登録:2014-05-28 21:32 修正:2014-05-29 06:57

 全南・長城の療養病院で28日早朝、火災が発生して患者20人と看護補助者1人が亡くなる惨事がまた起きた。 今回の事故はセウォル号の沈没以後もソウル地下鉄列車追突事故、高陽総合バスターミナル火災など相次ぐ現実社会の延長線上にある。安全という側面から見れば、我々の社会がいかに危険な土台の上にあるか、暗澹たる思いにさせる事件だ。

 特に今回の火災は2010年の慶北・浦項の仁徳老人療養センター火災事件とそっくりだ。あの時も高齢女性10人が亡くなり、17人が負傷した。老人療養施設の場合、大部分が歩行困難な重症老人患者なので、避難に困難が伴うことを浦項火災事件は私たちに教えた。わずか数歩で建物から出られるのに、それができずに炎に包まれたのだ。浦項事件の後、高齢者や子供の施設(老幼者施設)は床面積600㎡以上の場合は建物の各階にスプリンクラーを設置するよう規制を強化した。しかし長城の療養病院にはスプリンクラーはなかった。介護が目的の療養院は老幼者施設だが、治療が目的である療養病院は老幼者施設ではないという理由でスプリンクラーの設置義務が免除されている。歩行が困難な老人が生活する空間という点では何の違いもないのに、療養院と療養病院に差を設けているのは極めて官僚的な発想だ。結局、政府は浦項療養センター火災で大勢の生命を失っても何の教訓も得られなかったわけだ。

 老人療養施設で重要なものはスプリンクラーだけではない。火災を早期に感知し対処できる自動火災探知設備も必須だ。人に例えるならば目と鼻のように火災発生を初期に感知して警報を鳴らす設備だ。だが、これもまた小規模老人療養施設ではほとんど設置対象になっていない。

 現在、我が国の65才以上人口は639万人で、今後はいっそう急激に増える見込みだ。このような流れで、療養病院も急増している。2002年には全国に54か所のみだった療養病院が、2013年12月には1232か所できて、10年余りで20倍以上に増えた。急増しているだけに、安全のための設備がおろそかにされ、安全管理に落ち度が出ている可能性が高い。痴呆や脳卒中で歩行困難な高齢者がベッドに横になったままじっと動けずに煙を吸うようなことが二度と起きないようにしなければならない。それと共に、事故と災害が再発しないよう根本的な対策をとることも切に要求されている。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/639539.html 韓国語原文入力:2014/05/28 18:34
訳T.W(1102字)

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