鉄道の安全を脅かす要素は、乗務員の安全教育の不備だけではない。専門家たちは、鉄道運営主体と施設管理主体が分離され、整備人員が縮小されているなどの問題点を指摘する。
旅客・貨物を輸送する鉄道運営はKORAILが担当しているが、鉄道建設は鉄道施設公団(以下 公団)が受け持っている。また線路の維持・保守は、KORAILが民間企業に委託運営している状態だ。公共運輸労組のイ・ヨンス社会公共研究所研究員は「鉄道は旅客運営と施設管理が有機的に連結されているが、これを担当する機関は三つに分かれていて、統合的な安全管理ができていない」として、「運行距離が短く、輸送密度が高いわが国では、統合的に運営されることが合理的」と述べた。実際、鉄道先進国であるドイツの総運行距離は3万3600km、フランスは2万9903km、日本は2万35kmだが、韓国は3378kmにとどまる。
KORAILの社外理事を務めていたユン・ヨンジン啓明(ケミョン)大学教授(行政学)は「事故の危険性が高い今の分離システムの代わりに、KORAILと鉄道施設公団の統合も考えてみるべき時期がきている。全面的な統合が難しいなら、安全に関わる部分だけでも統合的に管理する必要がある」として「公企業は“公共性+企業”なわけだが、今はあまりにも企業的な側面である競争力と利潤だけを重視している」と指摘した。
車両整備人員の縮小も、安全を脅かす要因となっている。KORAILの車両整備人員は、2005年の6578人から2013年の4673人へと2000人近く減少した。すべての列車に対して毎日実施していた点検も、2010年、走行距離3500㎞毎に整備(1日平均走行距離850km)するように変えた。
労組側は整備人員の外注化についても憂慮している。鉄道労組のパク・ヒョンス車両局長は「経験20年の整備士たちは、車両の音を聞いただけで何が問題なのか分かるが、車両運行をしたことのない民間企業で、果たして整備をきちんとやれるか疑問だ」として「外注企業の数すら、いまだに把握されていない」と述べた。
オ・スンフン記者 vino@hani.co.kr