朴槿恵(パク・クネ)大統領が5日、空席だった大統領府報道官に僅か3ヶ月余前まで<韓国放送>(KBS)の看板ニュース プログラム<ニュース9>の進行をしてきたミン・ギョンウク(51)韓国放送文化部長を任命した。‘親朴放送’という汚名を着た韓国放送、記者の職業倫理にふさわしくない選択をしたミン スポークスマン、任命した大統領府、その全てに対する批判が相次いだ。
イ・ジョンヒョン大統領府広報首席は「新任のミン スポークスマンは海外特派員を含め長期にわたり放送記者とニュース進行者として活動してきた方で、豊富な言論経験と高潔な人格を基に朴大統領の国政運営哲学を国民によく伝達する適任者」として抜てきの背景を説明した。 ミン スポークスマンは人選発表の直後 「私が記者生活を長くしたので記者たちと呼吸を共にしながら国民との疎通を増進するのに役立てることを願う」と話した。 ミン スポークスマンは1991年韓国放送に入社し、ワシントン特派員と<生放送深夜討論>進行者、ニュース アンカーなど主要職責を務め、顔がよく知られている。
公営放送のメイン ニュース プログラムのアンカーを務めた人が、大統領府報道官に抜擢されるのは異例のことだ。 <文化放送>(MBC) <ニュースデスク>アンカーであったキム・ウンヘ氏が2008年に李明博政府の初代大統領府副報道担当者として行った事例はあるが、<ニュースデスク>進行時点から8年余り後のことだった。 韓国放送倫理綱領には「TVとラジオの時事プログラムの進行者、そして政治関連取材および製作担当者は、該当職務が終わった後6ヶ月以内には政治活動をしない」という条項がある。
ミン スポークスマンは2011年1月から2013年10月まで<ニュース9>のアンカーであり、スポークスマン任命の前日である4日にも文化部長として<ニュース9>に出演した。 彼がニュースを進行した時期に、韓国放送は大統領選挙や国家情報院大統領選挙介入事件などと関連して不公正報道論難に苦しんだ。 昨年の国政監査時には朴槿恵大統領が登場するニュースの配置頻度が高いという理由で‘ティン朴ニュース’(訳注:ニュース番組で時報がティンと鳴るやいなや「朴大統領は」でニュースが始まる御用ニュースの意)という批判も出た。 ミン スポークスマンはまた、2011年にウィキリークスが暴露した米国外交電文で、駐韓米国大使館側が2007年李明博大統領候補ドキュメンタリー製作の話を彼から聞き "ミン記者が李明博と彼の同僚に完全に説得された" と評価した内容が暴露されて論難になった。
韓国放送内部ではニュースの信頼度に悪影響を与えるという憂慮が出ている。 韓国放送のある記者は「この前までニュースのアンカーであった人が突然に大統領府報道官になったが、今後視聴者たちが果たして韓国放送ニュースを信頼できようか」と話した。 入社14年目の韓国放送記者たちはこの日声明を出し 「韓国放送ジャーナリズムにかろうじて残っていた最後の自尊心までごみ箱に叩き込む行為」だとして、朴槿恵大統領にスポークスマン選任を直ちに撤回するよう要求した。
倫理綱領違反ではないかという指摘に対して、韓国放送は「本人が放送イメージを私的に活用したわけではなく、任命を受けたことなので倫理綱領違反とは見難い」と明らかにした。
チェ・ウォンヒョン、ソク・ジンファン記者 circle@hani.co.kr